雪屋のロッスさん (新潮文庫)
雪屋のロッスさん (新潮文庫) / 感想・レビュー
Rin
いしいさんらしい短編集。一つひとつの物語はとても短いものが多いけれど、不思議と心にすとんと落ちてきて足跡を残していく。現実も幻想も混ざり合っている世界。雪屋に果物屋、警察官に調律師。絵描き屋に風呂屋、クリーニング屋。誰もが悲しいこと、苦しいこと、やるせないことがあるけれど、それに柔軟に向き合いながら生きている。動物たちが警察官だったりと、読みながらあら?と途中で気づくと彼らが頭にふっと浮かんでくる柔らかな世界はさすが。一気にではなく、気ままに手に取って読み進めたくなる一冊でした。
2020/01/24
チアモン
1つ1つが短編でとても読みやすかった。それぞれの物語が不思議で雰囲気が違く、それぞれの世界観があり、さすがいしいさんと思った。
2019/12/21
これでいいのだ@ヘタレ女王
岸本佐知子、クラフトエヴィング商會のような魔法の世界を散りばめた31の小作品集。不思議な世界を散歩してみたくなったら どうぞ
2015/07/03
masa
どこか懐かしく優しさを感じさせるも、同時に寂しさ、哀しさをも寄り添い共にあるような30と1の掌編集。人の温もりをしみじみと感じさせる小さな物語。この世の次元をちょっとズラしたふしぎな世界を覗き見ている感覚になる。『何々の誰々さん』として、呼ばれる響きをじんわりと感じながら、自身の仕事の日々を思う。微睡むような余韻に包まれながら。そっと息を吐いてゆっくりと深呼吸をするように。
2015/03/29
atori
さまざまな生業を持つ、いろいろな人(たまには人じゃないひとも?)達の短編30編。どれも味わい深くて大好きです。特に「なぞタクシーのヤリ・ヘンムレン」には、立ち向かう深い勇気をもらえ、「警察官の石田さん」はコミカルでくすりと笑わされました。どれを読んでも、それぞれの味があり、ほんのりファンタジックで、人間臭く、どこかもの悲しい。短い物語の中に「人生」があって、ひらいたら引き込まれずにはいられない一冊です。
2014/09/04
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