闇の中の子供 (新潮文庫 こ 8-4)
闇の中の子供 (新潮文庫 こ 8-4) / 感想・レビュー
nbhd
岸政彦さんの小説でも言及されていた、小松左京の唯一の純文学作品といわれる、所収の「少女を憎む」を読む。主人公が、戦後の地獄を生きる”よすが”としていた「少女との不思議に明るい思い出」と、胸クソ悪いその結末。主人公の記憶に残る少女の描かれ方に、みずみずしくキラキラした自意識過剰で童貞的な粘着質があって、息を飲みながら読みすすめた。ふと思い出されるような、おぞましさと美しさが入り混じった記憶、それがそのまま小説になったような作品だった。
2020/10/19
tama
自本 昭和48年4刷 新潮社ハードカバー 1973.12.26学生生協で購入 卒業実験が上手く行かず焦っていたはずですが。数え切れず再読。カバーが谷内六郎ですが、週刊新潮の拍子とはだいぶ雰囲気が違う。表題作は子殺しや子供から先に死んでゆく世界をとりあげ、日本の子殺し歌舞伎の心を考察しつつな作品で、好きです。「少女を憎む」は実は経験談でしょうが、空襲がないっていいわねの言葉は泣けます。
2017/09/08
しんこい
表題作はSFなのかホラーなのかミステリーなのか、という感じで、それに歌舞伎の薀蓄まで入ってます。少女を憎む、なんてのはSFではない青春小説の一種かな。まだまだ沢山未読作品があるなぁ。
2015/05/31
いづみ
SF10編。皮肉というよりも容赦ない「涅槃放送」から、私小説と見紛うような「少女を憎む」に怪談めいた表題作「闇の中の子供」まで、作風の幅広さがよく現れている一冊。圧倒的な知識量と、負の側面からも目をそらさないような人間観をひしひしと感じます。
2012/02/07
可兒
買って目を通す。小松さんがただの科学小説作家ではないことを実感させられる。
2012/12/22
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