二つの祖国 上巻 (新潮文庫 や 5-19)
二つの祖国 上巻 (新潮文庫 や 5-19) / 感想・レビュー
mariya926
山崎豊子さんの本はいくつか読んだことがありますが、本当に内容が濃いです。今回の二つの祖国も濃かったです。第二次世界大戦中にアメリカで、移民した日本人や二世があれほどの差別をされたり、収容所に入れられたという過去があったことを知りませんでした。賢治は二世でありつつ日本で10年暮らしていたので、アメリカと日本の二つの祖国の間での苦しみが描かれています。これからどうなっていくのか。本当にこの本はスラスラ読むことができないので、なかなか進みませんが、読んでこそ得られるものがある気がします。
2016/07/05
James Hayashi
真珠湾攻撃後、米国大統領の命令により日本人は強制的に収容所に入れられる。全くの不条理。イタリア、ドイツ系移民は蚊帳の外。日系人10万人以上。もし血を分けた兄弟が国を異にし銃を向けあったら?人間の忠義の根幹に究極の選択を迫る。一時収容所は競馬場の馬小屋。その後マンザナールという山脈の向こうの風すさぶ荒地へ。移民として苦労を重ねた諸先輩がたは全てを失い米国から総スカンをくらい彼の地へ。この作品がなければ、日本人の意識に移民の苦労は決して伝わらなかったであろう。上巻は天羽賢治が軍に志願し豪州へ。中巻へ。
2015/03/19
風に吹かれて
日米開戦後、日系アメリカ人は収容所での生活を米国から強いられた。ドイツ系やイタリア系はアメリカ人としての自由があった。アメリカで生まれアメリカ人として育てられた米国国籍を持つ日系二世。アメリカ人として生きるか、日本人として生きるか……。彼らは絶えず厳しい選択を迫られる。日本に戻る人もいれば米兵として生きる人もいる。米国と日本に家族は引き裂かれ、血を分けた兄弟が同じ戦場へ……。 国とは何か。人の命より尊いものなのか。そもそも人間とは……。重いテーマだが、巧みなストーリー展開が読ませる。 →
2022/03/07
zoe
ドナルド・キーンさんトリガー。読んだことは無いのに内容を薄っすら知っているのは、なぜだろう。日系一世、二世、(+三世)が、大戦に巻き込まれていく上巻。自分が内部分裂してしまわないように、あるいは彼方此方とふらふらしないように軸を持つということは、それを拠り所に判断して生きていくことができる。ただ、自分に忠実であっても、幸せなのか、不幸なのかは、よくわからない。生きている人たちの未来のためにと大局を考え、判断し、行動するが、身近な人間とはコンフリクトしてしまう。
2018/04/07
とももん
読書って面白いなあと思わせてくれる作品です。山崎豊子はやっぱりすごい。読み始めるととまらなくて、それこそ一日中読める感じです。分厚さや字の小ささもなんのその、かえってそれがまだまだある嬉しさだったりします。私が知らない太平洋戦争日系二世の存在について、知ることができてよかったです。そして、今後どういう展開になるのかも楽しみです。勇、悲しかったです。賢治の正義感すてきです。賢治にはもっといい妻がよかったなあ。もったいないなあ
2017/05/31
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