沈まぬ太陽〈2〉アフリカ篇(下) (新潮文庫)
沈まぬ太陽〈2〉アフリカ篇(下) (新潮文庫) / 感想・レビュー
yoshida
恩地への不当人事は約10年に及んだ。カラチ、テヘラン、ナイロビ。遂に恩地も精神を病みかける。恩地が日本に戻るきっかけは皮肉にも国民航空で多発した事故だった。利益を求め、人を育てず機材の修理も不十分である国民航空。改めなかった問題は御巣鷹へと繋がるだろう。これだけの報復人事に耐えた恩地の超人的な不屈さ。私であれば転職してしまうだろう。だが、恩地は彼を信じる組合員の為にも、節を曲げなかった。だが国民航空の経営層は変わっておらず、恩地には更なる苦難の道が見える。恩地はそこを乗り越え、どう生きるか。読み応え抜群。
2021/01/08
キムチ
装丁は舞台の情景をよく表現しており、執筆に当たって筆者がかの大地を歩きまわった意欲的な息吹がよく伝わってくる。恩地の抑えた行動の内面にたぎらんばかりの憤りが感じられる。中盤よりインド、モスクワ等の飛行機事故が相次ぎ、いよいよ起こる御巣鷹山の事件の予兆かなと。アフリカの女王との会話に差別観を述べ現地の在り様に「ポレポレの国」との文明摩擦を語っている。ナイロビの風景はよく綴られ、臨場感十分。今でも残っている「組織の意を汲むモノの作文」というレポート、ハインリッヒの法則の引用もあり、なるべくしてなって行く展開だ
2014/03/03
射手座の天使あきちゃん
日本航空社内の不条理・傲慢・人間の欲望等を赤裸々に 真相は?、でも恐いですねぇ!
reo
いやはや恩地君、頭が固いというか融通が利かないというか、当初3000人いた第一組合員は270名にまで減ってしまう。第一組合委員長の沢泉は恩地に「我々には、励ましあう同士が居ます。恩地さんはたったひとり、アフリカへ放り出されようとしてる。酷いですよ」という。恩地「いや、譬えてみれば、江戸の小伝馬町で毎日箸の上げ下ろしまで言われるより、いっそ、鳥も通わぬ八丈島へ流された方がましだよ」と答える。親分恩地の諦めが悪いせいで嫁も子も、ついて来てる社員も皆が不幸になるがな。と思いつつも恩地日本に帰還。目が離せまへん。
2017/07/02
ころりんぱ
ふぅー。会社からどれだけの仕打ちを受けようとも、日本で共に闘う労組の仲間を思い、自身の信念を貫いて屈しない恩地。強い〜。だけど、度重なる恩地の災難に、ずっと顔をしかめて読んでいる感じでした。この巻には、祖国から離れアフリカで暮らす日本人たちのそれぞれの物語が紡がれていて、興味深かった。また、航空事故が多発する場面、会社の立ち回り方とか、事故原因調査など、緊迫感のある展開にドキドキしてしまいました。アフリカから日本へ、やっと、やっと、帰れるのだと思うとなんとも感慨深い。さぁ、恩地と共に日本へ帰るぞー。
2014/04/24
感想・レビューをもっと見る