白い巨塔〈第4巻〉 (新潮文庫)
白い巨塔〈第4巻〉 (新潮文庫) / 感想・レビュー
ヴェルナーの日記
物語は法廷の場に移り財前の医療過誤について争われる。現在の医療訴訟は”「医師の過失を証明するのは難しく、補償される場合でも時間がかかる”とされ、「話し合い(示談)」とか、「民事訴訟」になることが多い。またADR(裁判外紛争解決手続)という手法もある。ADRは利用したい人がADR指定機関に申し立て、申し立てを受け付けるとADR機関が相手方に連絡。相手方が合意すれば手続きが始まるが、拒否すれば手続きは成立しない。 手続きが始まると、あっせん人・調停人・仲裁人が決定され、あっせん・調停・仲裁が行われる。
2017/08/14
のっち♬
患者遺族が捨て身の控訴に出る一方で、財前は地位確保を狙う鵜飼に唆されて学術会議選挙にも野望をたぎらせる。ここからは一度終わった物語の続編。「作家としての社会的責任」を選択した彼女の行動は、奇しくも作品そのものが内包するテーマが重なることになった。しかし、ここへ来てストーリー進行と語り口双方に冗漫さが目立つ。選挙戦は前巻で野坂の影響力を残る結果にしておいたことが効いているが、焦点は裁判関連にどうしても傾いてくるので佐々木商店の関連者たちの予定調和な言動が説得力を削いでしまう。疲労と意欲低下は隠せないようだ。
2018/10/06
優希
医師の違いをまざまざと見た気がします。裁判の一件で大学を去り、癌センターで検診車に乗り、1人の患者と向き合う里見と控訴審と学術会議選を控える財前。同じ医師なのにどうしてこんなに違うのかと思わずにはいられません。権勢を求める財前と医師としてひたすら純粋な里見。原告の敗訴により控訴されたことで、裁判と選挙で財前も焦りを感じてはいるのでしょう。命の現場で感じられる不公平もあり、あってはならない世界が見えました。病院と患者は紙一重。最後はどうなることか。
2016/10/13
miyumiyu
再読。助教授の椅子を捨て、近畿癌センターに赴任した里見は、充実した診察と研究を取り戻したが正義を貫く姿勢は変わらない。原告・佐々木側は倒産の危機に。財前は、控訴審への対抗策を練る傍ら学術会議選挙に出馬し、心身ともに無駄な労力を費やす。そして、偶然受け持った、死亡した佐々木庸平に姿も病状も酷似の患者の姿に、心底怯える。一方、原告側に有利な証拠を握っている元婦長のもとに足繁く通う東佐枝子。娘の姿に、とうとう動きを見せた東前教授。正義は勝つのか?やはり権力にねじ伏せられるのか?いよいよ最終巻へ!
2016/01/24
抹茶モナカ
第一審で勝訴した財前教授に学術会議選挙出馬要請が来る。再び、権力闘争が始まり、第1巻の教授選を彷彿とさせる。原告の佐々木側は控訴して、再び裁判が始まる。徐々に財前教授包囲網は狭まって行く。権謀術数で権力闘争、裁判を勝ち抜こうとする財前教授だが、翳りが出て来た。
2013/12/12
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