二つの祖国(一) (新潮文庫)
二つの祖国(一) (新潮文庫) / 感想・レビュー
優希
アイデンティティという重みを感じずにはいられませんでした。時は太平洋戦争。アメリカに生まれた日系二世たちの問題が苦しかったです。アメリカ人か日本人かという残酷極まりない問い。日系という響きが苦難を生んでいるのに胸が締め付けられます。真の祖国は何処にあるのかを探す悲劇がここから始まるのですね。続きを読みます。
2016/02/18
zero1
以前に読んだ本を登録。第二次大戦中、アメリカにいた日系人たちの苦悩を描く力作。主人公は東京裁判の通訳者として両国の間で苦しむ。日系人部隊によるテキサス大隊救出ものちに描かれる。
ともくん
アメリカ合衆国の市民権を持つ、日系二世でも、ジャップはジャップなのか── 第二次世界大戦中、日本軍の真珠湾攻撃により、アメリカにいる約11万人の日系人が強制収容所送りとなった。 国籍は、アメリカでも、見た目は日本人の日系二世の天羽賢治。 日本人としての誇りを胸に抱くか、巨大なアメリカという国家に屈するか。 常に二者択一を迫られる。 苦悩や葛藤を抱え、天羽賢治の目に映るアメリカとは……
2019/02/19
ころりんぱ
日系二世としてアメリカに生まれ日本で教育を受けた天羽の感覚がまさに「二つの祖国」を持つ者。突きつけられた問は、お前はアメリカに忠誠を誓えるのか、戦いで日本人を殺せるのか。真珠湾攻撃を経て、日米開戦。その時にアメリカで暮らしていた日本人たちが、敵国人とみなされて強制的に生活を奪われ、収容所に押し込められている様子に、当時の日本でも同じように虐げられていた外国人がいたのだろうと容易に想像でき、戦場での戦いとはまた別の悲しい闘いがあちらこちらで起こっていたのだろうと思う。大作なのでゆっくり読みたい。
2014/12/08
あらたん
「大地の子」の次に手に取った。日本、中国、アメリカ、民族も政治体制も異なるけれど非常時における異民族に対する扱いは変わらない。日本人が中国人したこと、中国人は残留孤児にしたこと、アメリカ人も日系人にしたこと、みんな同じ。人種差別など異質のものを排除したくなる性向は人類普遍のものと心得るべき。社会の理性でそれをどう克服するかが問われている。
2024/09/14
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