二つの祖国(二) (新潮文庫)
二つの祖国(二) (新潮文庫) / 感想・レビュー
優希
戦争や戦地の描写がとても残酷でしんどかったです。忠誠を誓う為に兄弟が、家族が絆を壊されていくのがやりきれません。血を分けた兄弟は敵味方となり、戦地で撃ち合わねばならないのが胸に痛みとして刺さります。地獄のような戦地で兄弟が出会うほど辛いことはありません。アメリカでは敵国に属し、日本では非国民として虐げられる日系人。これはフィクションとはいえ、虚構ではないのが苦しい。原爆投下や主要人物の死、終戦など展開は早いですが、また新たな話の幕開けです。このまま次巻へいきます。
2016/02/18
ともくん
自らアメリカ軍として、戦場行きを志願した天羽賢治。 賢治の弟、忠は日本軍として招集されていた。 同じ戦場にいる兄弟。 徐々に近づく距離。 緊迫の日々。 戦場で対峙した兄弟。 互いの存在が知れたとき、互いに何を思ったのか。 そして、運命の1945年8月6日午前8時15分。 広島への原爆投下。 焼けただれた人。 何も無くなった大地。 賢治の目に、日本は、広島は、どう映ったのか──
2019/03/01
ころりんぱ
戦争によって引き裂かれたいくつもの家族があったんだなと改めて思う。それはそれは過酷な状態を生きなければならなかった登場人物たち。2巻は収容所から、戦場へと舞台を移し、熱帯での戦闘、飢餓などはこれでもかという描写に、亡き祖父がこんな中に衛生兵として従軍していたんだなぁ、そりゃ話したくない事がたくさんあっただろうなと思い、広島の被爆者への聞き取りの場面では辛くなり、しばし小説だということを忘れ物思いに耽りました。教科書読むよりよほど勉強になります。3巻は東京裁判のようなので、心して読みます。
2014/12/10
おたま
太平洋戦争の後期、ルソン島での日米軍の戦いが一つの山場となる。その前にヨーロッパ戦線に米軍の一人として参戦した天羽勇は、独仏国境で米軍を助けるための戦闘で戦死。ルソン島では、アメリカ軍の兵士(日本軍に呼びかける語学兵)として上陸した天羽賢治と、日本軍兵士として満州から転戦してきた弟の天羽忠とが、直接に睨み合うことになる。また、チャーリー田宮と別れた井本梛子は交換船で、郷里の広島に帰る。そこで原爆に被爆する。父母を被爆で亡くし、自身は直接の被爆は免れる。大きく時代が動く第二巻。
2022/02/12
taiko
収容所を出た賢治は、教官として米陸軍日本語学校の教官となった。一方、両親と娘は、忠誠テストに背きツールレイク収容所に送られた。父が夢を見、努力してきたアメリカでの暮らし、日米開戦により家族はバラバラとなり、不幸な形で再会することとなる。…物語だから、賢治とその家族の元にばかり色々なことが起こるのは仕方がないこと。きっとどれもあちこちで起こっていたことと思うと胸が苦しくなります。エミーもなんで自分で不幸を呼んでしまうのか。賢治の奥さんなのだから、幸せになれたはずなのにと→続く
2019/04/11
感想・レビューをもっと見る