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二つの祖国(四) (新潮文庫)

二つの祖国(四) (新潮文庫)

二つの祖国(四) (新潮文庫)

作家
山崎豊子
出版社
新潮社
発売日
2009-09-14
ISBN
9784101104485
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二つの祖国(四) (新潮文庫) / 感想・レビュー

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優希

東京裁判も終盤に差し掛かり、日本にどのような判決が下されるのか、その日も近づいてくるのに精神的に追い込まれていきました。勝者が敗者を裁く展開は一方的ですし、2つの祖国の闇を見せつけられて苦しさすらおぼえます。日系人という宿命が背負った十字架は重く大きいものだったように思いました。命がけで探した真の祖国。その先に見えたのは救いのない世界でした。2つの国の間で苦しみ、両国の理不尽さの中で必死に生きる人々。辛さを感じながらも圧倒的に読ませる力に引き込まれていました。

2016/02/18

崩紫サロメ

前巻に続き、モニターとして東京裁判に関わる賢治。その中でこれが戦勝国による一方的な断罪であると感じるが、モニターとして、またアメリカ人としてそれを口にすることは反逆に当たるゆえ、苦悩し、実際にアメリカへの忠誠を問われる。かといって日本では「アメ公の日本人」と呼ばれる。賢治とは結果的には正反対の生き方を選ぶチャーリーも、日系2世として、また広島出身者として2つの祖国の間で苦悩を抱えているというところが描かれているのが、全編を通してよかった。

2021/03/18

ころりんぱ

思わず天井を見上げため息をついてしまったラスト。山崎豊子さんが5年かけて書いた長い長い作品でしたが、このラストの虚しさ切なさが、戦争の残酷さを象徴しているなと思いました。東京裁判の裏事情や、粛々と行われた死刑執行の状況まで、綿密な取材で描かれていてとても勉強になりました。戦犯として裁判にかけられた人たちの家族たちの心理もこの本で初めて慮れ、いわゆる東京裁判を様々な角度から考える事ができました。私たちは学校教育で、時代と出来事でしか戦争のことを学ぶことができていないんだな、と改めて思いました。

2014/12/18

おたま

極東国際軍事裁判にモニターとして参加した天羽賢治は、次第にこの裁判は勝者の敗者に対する見せしめの裁判ではないかと思い始める。裁判の最後に、賢治は判決を通訳して日本人被告に伝える。特に文官であり、軽微な刑であろうと思われた広田弘毅に対して「絞首刑」と伝えたときに、自分の行ったことに罪悪感を覚える。さらに、愛し合っていた井本梛子を、アメリカによって投下された原爆被爆による白血病で亡くす。日系二世アメリカ人として生きてきた自分の居場所を次第に見失っていく。賢治は日本とアメリカという「二つの祖国」に引き裂かれる。

2022/03/13

あらたん

読了。子どもたちや加州新報の仲間のことを考えたら、何も自殺まですることはないのではというのが正直な気持ち。賢治はすこし真面目で潔癖すぎたように思う。チャーリーのしたたかさを少し分けてもらいたかった。全体を通してみると、太平洋戦争における日系人の過酷な運命と東京裁判の実情を学べた、とても有意義な読書体験でした。

2024/10/03

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