東京路上探険記 (新潮文庫)
東京路上探険記 (新潮文庫) / 感想・レビュー
アキ・ラメーテ@家捨亭半為飯
超芸術トマソンの話で始まり、トマソンものかと思っていたら、さにあらず。新聞の三行広告に見るドラマ「タカシ 心配するな、すぐ帰れ 父」や、壊される建物のかけらを集める人「また建物のカケラが増えてしまった」、マンホールの写真集を出した宇宙人的な何でも記録する人「マンホールの蓋に乗った宇宙人」が印象深かった。
2015/08/13
エドワード
散歩好きな私の東京歩きの友は、観光ガイド→アングル(知ってる?)→ぴあマップ→ブラタモリと変わったが、街歩きの楽しさは赤瀬川先生から教わった。純粋階段、無用門。街は面白いもので満ちている。目的地に直行せずに、よそ見しながら歩く性質は今も変わらない。「適度に古い町が適度に新しく変わろうとしながらギシギシと軋んでいるようなところに、人知れず超芸術は生まれ出てくる」なるほど、東京と京都の街歩きが抜群に面白いわけだ。これは平成元年の新潮文庫だが400円とは破格に安い。そんな時代もあったねと。ご冥福を祈ります。
2014/12/16
sabosashi
都市へのハイパー観察学。 都市はとりわけ効率性を重視するわけで、それからはみ出したものに徹底的にこだわっていく。 それはどのように意味づけていけばいいのか、なにか理由を案じるべきものなのか。 しかしそれはどうやら、へそ曲がり的な発想から派生しているのではなく、都市の機能を引っくり替えして眺めて見ようという、発想の大展開に根を持っていそうだ。 そこまで考えてきて、作者が試みていることは、暇人の遊びに見えて、その実は重要なアートムーヴメントであることを悟る。
2014/09/11
ちや
単行本
2022/03/28
lanikai
佐野眞一が盗作した三行広告の逸話に興味を持ち古本を入手。「隆 父心配のあまり重病、何も聞かぬ無事だけ知らせ」から始まる三行広告が、日を追って変化していく。「父の病状思わしくない。近所の人は何も知らぬ。一目だけでも会いたい」「父キトクすぐ帰れ○○病院入院中」と30回に及ぶ広告はドラマチックに展開していく。意識して記録蒐集していかねば、誰も辿り着けぬ三行広告の中のドラマ。結末は是非とも読んで確かめてほしい。超芸術トマソンの前著で、トマソンの話もいくつか登場する。彼は価値のないものに価値を見つける天才だと思う。
2013/03/15
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