点と線 (新潮文庫)
点と線 (新潮文庫) / 感想・レビュー
zero1
博多近くの海岸で見つかった男女の遺体。青酸カリでの心中?ベテラン刑事の鳥飼は食堂車でひとりだけの利用だったことに疑問を持つ。死んだ男は某省庁での汚職が疑われていた課長補佐。警視庁の三原警部補は安田という男を疑うが、彼は当時、北海道にいた。東京駅での4分間、時刻表を用いてのアリバイ崩し。後のミステリーに大きな影響を与えた作品。意外に薄く読み易い。ある図書館ではYAの扱いになっているほど。1957年連載開始と古いが、九州への夜行寝台特急「あさかぜ」や鉄道公安官、都電も登場するので鉄道ファンでも楽しめる一冊。
2019/02/13
青乃108号
「ゼロの焦点」がからっきし駄目だったので躊躇したが、駄目だったらいつでも止めよう、と読んでみた。面白いじゃないか。冒頭から引き付けられ止められなくなった。男女の情死。九州から北海道への移動トリック。結核の妻。官僚の汚職。「ゼロの焦点」は過去の遺物だったがこの作品は現役選手でまだまだ頑張れそうだ。
2023/04/28
サム・ミイラ
再読。正直な所小説も映画も私にはいま一つだったが、この度たけし主演のテレ朝五十周年記念ドラマをレンタル観賞し驚いた。こんなにも面白く深く感動する物語だったとは。東京五輪整備事業に絡む汚職に端を発する偽装殺人と男女の情念と葛藤。政治家や官僚の妨害にも怯まずひたすら犯人を追う刑事達の執念の捜査。戦争で心を無くした犯人と生きる意味を得た刑事との火花散る駆け引き。慌てて本棚から引っ張り出し一気に読んだ。成程、この小説においては感情を排し努めてドライに描こうとしていた事がやっと分かった。実験的小説だったのだと。
2014/08/12
おしゃべりメガネ
今更ながら?松本清張先生の初読み作品です。昭和32年に書かれた「アリバイ崩し」の社会派ミステリーの金字塔的作品ですが、イヤ、スゴかったです。ネタ自体はシンプルですが、よくここまで‘点’と’線’を手繰り寄せ、つなぎ合わせたなと感嘆してしまいます。主人公となる刑事「三原」の決して諦めない筋の通った行動力と、よき上司「笠井主任」のサポートが絶妙でした。事件の起きた現場のベテラン刑事「鳥飼」もいいキャラをだしてくれており、今となっては考えられない‘電報’を連絡手段に使用している場面も、ある意味なかなか新鮮でした。
2015/11/27
Atsushi
博多の海岸で発見された男女の死体。心中と片付けられたが殺人事件として謎を追う警視庁の三原と福岡県警の鳥飼。完璧と思われたアリバイが地道な捜査と理詰めの推理でひとつひとつ崩される過程は読みごたえあり。東京駅の「空白の4分間」は今も新鮮だ。
2018/06/28
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