松本清張傑作選 黒い手帖からのサイン: 佐藤優オリジナルセレクション (新潮文庫 ま 1-68 松本清張傑作選)
松本清張傑作選 黒い手帖からのサイン: 佐藤優オリジナルセレクション (新潮文庫 ま 1-68 松本清張傑作選)
- 作家
- 出版社
- 新潮社
- 発売日
- 2013-02-28
- ISBN
- 9784101109749
松本清張傑作選 黒い手帖からのサイン: 佐藤優オリジナルセレクション (新潮文庫 ま 1-68 松本清張傑作選) / 感想・レビュー
KAZOO
かなり昔に阿刀田さんが編集した清張の短編全集を読んだ覚えがあるのですが新潮文庫から6人の作家が選んだこのような短篇集があることを初めて知り手に取りました。各作家の好みが現れているようで宮部さんの方を先に読んでいたのですが、どうもしっくりこないので佐藤さんのこの本を先に読んでしまいました。「声」などは二部に分かれているのですがやはり楽しめました。現在は電話交換手という職業は珍しくなっていると思うのですがその人物が声だけで誰かということを当ててしまうということでこの話のポイントとなっています。楽しめます。
2023/03/25
あすなろ
古本で見かける度に積んでいた選集の一冊を。まるで買い込んでいた酒を封切るかの如く胸踊る。それも大好きな清張の短編選集で佐藤優氏が選者である。正直、ここまで歴史物が入っているとは思っていなかったが、この歴史物の筆の凄みが相当である。丹羽長秀に圧倒された。また、声や言わずと知れた張り込み等、インテリジェンスの観点から選んだという佐藤氏の眼力も素晴らしい。大学時代に読み耽った清張作品だが、その後も話題となった砂の器等の大型作品しか記憶に残っておらず、この様に時折、とっておきの酒を封切る形で読んで行きたいものだ。
2023/09/30
キムチ
セレクションの名を冠にする人物が借景になっている・・国際舞台を渡り歩いた佐藤氏が培った「人間観察の視点・理屈にならぬ情念etc」の手触りが読みながら認識できる。9つの短編、濃密な昭和の匂い。舞台の情景自体、モノクロ。時代もの3編が入っているが歴史の主流人物ではない。秀吉・家康に関わるも 生き馬の目を抜く時の刹那の中でどう堕ちて行ったかが納得いく。若い頃、清張の近代現代もの共に読み漁った‥が解った積りでいただけ。人間の機微、表面的な温度感では解るはずもない 見えない裏面が綴られる。大人の文学だなと満足できた
2020/06/30
竹園和明
あの佐藤優がセレクトした松本清張の短編集。収載された作品は昭和の骨太さを感じさせる色濃い作品ばかりで、人間の行動の裏に潜む心理に焦点を当てた見事な作品ばかり。初読み「腹中の敵」は、織田家臣の中で後輩の豊臣秀吉の台頭に戸惑う丹羽長秀の心中を描く。己の人の良さが結果的に秀吉を後押しする事になり、自己嫌悪に陥る心理が見事に書かれていていた。その構図を現代に置き換えた「殺意」共々、屈折した男の狂うような想いが生々しかった。代表作のひとつ「張込み」、完成度の高い「声」など、珠玉の短編集である。
2024/03/24
chika
佐藤優先生が選んだ短編9話。「見えない出来事、語られていない事柄」を読み解く楽しみにあふれた秀逸作品群です。「声、腹中の敵」が特にはまりました。 豊臣秀吉のセリフと丹羽長秀の心情告白は読んでてワクワクしました。「怪物」松本清張の、通常の人が看過する人間心理の機微を読み解く描写、凄い!(๑˃̵ᴗ˂̵)
2018/04/01
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