なぜ「星図」が開いていたか (新潮文庫)
なぜ「星図」が開いていたか (新潮文庫) / 感想・レビュー
あすなろ
清張氏の初期短編集で、清張没後30年企画として新潮社が編んだ最新刊。僕は学生時代のある時期、貪る様に清張作品を読んだ時期があった。それ以来久しぶりに読んだのだが、やはり清張作品は別物である事を実感。人という業である故の人生の奈落からの凄みを感じさせてくれる桁が明確に違う。それを堪能出来て実感出来る一冊。学生時代から僕はいつも思うのであるが、もし現代に清張氏が生きていらしたら現代ツールを活かしてどういう作品が産まれるのか。そんな事を夢見る凄みを味わえる作家はそうそういないのである。
2022/10/23
キムチ
初期もの短編。大半は倒叙ミステリー、個人的に好みラインナップ。既読もあるが何度読んでも名作感は薄れず。超短編「張込み」はミステリー執筆のお手本とすら思える。戦時中の影を下地にしたモノは埋もれた、消されたダークが更に山積?と推測に繋がる。清張=昭和と任ずる向きに異論は少ないと思うが「煙草、愛人、残業」が社会の根底に常在 ザ昭和を形作った要因の一部?と思った。当時を肌で知る人が消えて行っても、読まれるサブカルのトップには間違いない。サスペンスの魅力はトリックじゃなく人の心理、動機!だからこそ読みたくなる
2024/09/10
涼
http://naym1.cocolog-nifty.com/tetsuya/2022/11/post-504b38.html ほぼ全てが、既読でした。あらためて清張は面白いと思います。
2022/11/18
ナキウサギ
その頃の昭和の情景が色濃く見えて、解決の糸口ひとつひとつが心地よくどれも納得の出来る短編集でした。人々の暮らしや今とは違う価値観がなつかしくもあり、次の作品にも同様の期待して本を閉じた
2024/02/01
そうたそ
★★★☆☆ 松本清張は長編も面白いが、短編はまた長編とは違った面白さがある。短いながらキレがあり、ミステリ作家松本清張を堪能できる逸品揃い。本書は傑作集とのことだが、文庫初収録は三作のみで、他は新潮文庫の既刊に収録済み。表題作は、本書で一番拍子抜けしてしまった程の、傑作とは言い難い代物だが、一方「顔」「反射」「共犯者」あたりはさすがの出来。社会派ながら本格である、という松本清張のミステリはまさにこういうことなのだと改めて実感できる作品たちだった。
2022/09/01
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