草競馬流浪記 (新潮文庫 や 7-17)
草競馬流浪記 (新潮文庫 や 7-17) / 感想・レビュー
Takashi Okawara
昭和末期の地方競馬全競馬場を回った紀行文。この本を読んで良くも悪くも洗練されてない泥臭さに惹かれて地方競馬や旅打ちにハマるきっかけとなった。売上は底打ちして存続の危機は脱したように見える今の地方競馬だが、ネット中心の販売チャネルでの馬券購入が一般化してしまい競馬場自体に昔の活気は戻っていないし今後も戻ることはないだろう。存続の危機を乗り越えられずに廃止された競馬場に関する記録としてはもちろん、現存する競馬場がまだ元気だった頃も思い出させてくれる貴重な作品。紀三井寺競馬場に行けなかったのがつくづく残念。
2018/05/24
imagine
今までこの名作を未読であったことを猛省。競馬に対する愛情にあふれ、同行者との旅情も満載。肝心な競馬場の描写は完璧で戦績も充実!移動のたびに国鉄最盛期の懐かしい特急の名前が出てきたり、「場所」も「時代」もトリップできます。そしてこの著書が、編集者たちとのチームプレーの賜物ということが、巻末の座談会のみならず、解説を森田芳光に依頼するというセンスからも窺えました。
2016/03/11
さっと
再読。早い話が、全国の地方競馬(地方自治体なり組合なりが主催している競馬。日曜日の夕方にテレビでやっている中央競馬[JRA]とは別モノ)の開催場を編集者や友人らとまわって馬券で勝った負けたとやるだけである。だからといって、ただのギャンブル本ではない。競馬好きのための本でもない。読者はまず、全国に27もの地方競馬場があったことに驚くだろう。そして、時代、世相、風土すべてが一緒くたになった、山口瞳が切り取る競馬場の風景に圧倒されるだろう。在りし日は美しく、つわものどもが夢の跡。間違いなく紀行文の傑作である。
2013/12/23
タカ
この本には、27場書かれている。私は3場しか行ったことがない。もう行けない競馬場があることが悲しい。
2020/08/08
中山バスター
作家山口瞳さんが全国にある地方競馬場をめぐりそれぞれについて紀行をまとめたもの◆貴重なものを読んだなという感覚になります。昭和62年に出版されたものだけあって、今はなき競馬場も多数存在し、その競馬をする過程や思ったこと、やったことを細かに描写してあって趣がありました。ただ、馬券を当てた外したの記載や競馬と関係ない部分の描写も多く個人的には蛇足と思える部分も。歴史書として読む分にはいい作品だと思います。
2016/01/26
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