エロ事師たち (新潮文庫)
エロ事師たち (新潮文庫) / 感想・レビュー
ケイ
所謂アダルトビデオを作ったり、重役に女性を世話するエロ事師の話だが、語りが弁士調で全くいやらしさがない。エロ事師自身が金儲けの手段として他人の性的欲望をかなえるにはどうしたらいいか真面目に取り組んでいるからだ。本人は娘のいる後家さんと同居していて、自分自身の性生活はいたって普通のようである。そんな仕事に関わる女性達も、本来は悩んだり不幸であるのだろうが、湿っぽい話はほとんど触れず、話はあっけらかんと進む。漁師のクロと、その知恵遅れの娘の話だけがとてもかわいそうで、それだけ鮮やかに印象に残る。
2014/09/29
Kenichi Yanagisawa
戦後のエロのことを書いているのだが、エロそのものというよりも、男の一番深いところに潜んでいる本質をエロを通して書きたかったのではと、、、考えすぎか(笑) 古いエロ仕事(たとえばブルーフィルム、トルコとか)と大阪弁で綴るこの本、大阪弁が良い味を出している。標準語で語られたらこの味は出てないかもしれない。 話の途中で、自分の妻が病気で亡くなるのだが、不覚にもジーンときてしまった。お通夜でブルーフィルムを映すシーンなのだが、、。
2013/08/01
明智紫苑
結構えげつないネタを扱っているけど、文体のせいか不思議な気品がある。それにしても、『火垂るの墓』よりも先にこっちを読んでしまうとは、我ながら奇妙だ(笑)。
2016/12/22
T2y@
野坂昭如氏 訃報を受けて、一年の積読を了。 卑猥だが、猥雑ではない。 下品だが、いやらしさはない。 この題材でユーモアと悲哀に昇華させる筆はさすが。 関西弁のリズムが掴めれば、もっと早く読み終えて居たとは思う。
2016/01/09
メタボン
☆☆☆☆ 全編エロ一色の割にはそこまでのいやらしさを感じないのが不思議。大阪弁のリズムも心地よい。乱交シーンのたたみかけるような言葉遣いは、まさしく昭和の戯作師としての本領発揮といったところか。
2021/10/28
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