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動物のぞき (新潮文庫 こ 3-10)

動物のぞき (新潮文庫 こ 3-10)

動物のぞき (新潮文庫 こ 3-10)

作家
幸田文
出版社
新潮社
発売日
1998-11-01
ISBN
9784101116105
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動物のぞき (新潮文庫 こ 3-10) / 感想・レビュー

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やすらぎ

幸田文。母の愛した上野動物園。強さの中にある動物の弱さ、人に寄せる情に強く引かれた。青木玉氏が是非にと推した作品。独特の観察眼、動物のぞき。…どの飼育員もいう。動物は恐れやすい生き物だと。ここに勤めて十何年、ありゃ何の声だ。初めて聞いた鳴き声だった。不思議なことに事欠かない。…檻に飼われた不自由さ、野にいれば食も交配も争わねばならず、いつ襲われるかの不安もある。幸せでもあるような、また最大の不幸せでもあるような。類人猿、猛禽類がヒトを見つめている。何を思っているのだろう。未だ知り得ない。私は覗かれている。

2021/11/13

アナーキー靴下

著者と一緒に動物園に行ったらさぞ楽しいだろうな、というエッセイ。私の思い出の中の動物園とも重なり、対話しているかのような錯覚を起こす。昔、お馬さん可愛いし感動するから、と友人に競馬に誘われ胡散臭いので断ったが、この本を読んでいたらむしろこちらから連れていって欲しいとお願いしたに違いない。キリンの駆ける姿は前に一度見たが、仔キリンが夢中で駆ける様は気持ち良さそうで、私まで清々しい気持ちになったことを思い出した。大なり小なり心に傷を持つ動物たちと飼育員さんの誠実な触れ合いには胸が一杯に…。動物園行きたくなる!

2021/08/27

ホークス

1960年頃に動物園を取材したエッセイ。著者は50代。洞察と表現からやんちゃな気性が窺える。「かわいく思うことは、ムゴいということと、ほとんど紙の裏表である」と言いながら、飼育係にあれこれと聴く。脱走したゴリラの話が印象的。園内を淋しそうに歩いていたが、飼育係を見ると嬉しそうに手をつないで戻ったと言う。簡潔な文章が、行きどころの無いゴリラの哀しさを伝える。クマの表情はそう分かるものでなく、穏やかさを感じるのは人間の勝手だと言う。異種である動物たちの感性を尊重する事、思い込みを控える事は礼儀なのだろう。

2023/03/12

touch.0324

幸田露伴を探していたところ発見し、タイトルにつられて手に取りました。露伴の次女、幸田文(あや)さんによる動物園の見聞・探訪記です。飼育員の方々の目を通して動物たちの意外な一面を垣間見たり、ちょっとした豆知識を知ることができます。なるほど『動物のぞき』とは得心のタイトルです。

2014/09/25

ももたろう

「類人猿(抄)」の感想。幸田文の、観察眼の鋭さと、優しさ溢れる温かい眼差しを感じる作品だった。幸田文は、人一倍苦労した人だと思う。だからこそ、人の苦労が分かり、人の気持ちが分かり、そして、それを冷静かつ温かい眼差しで見つめることができる人だと思った。加えて、筆力の高さも兼ね備えている。うーん、とってもいい作家ですね。ファンになりそう。男性には真似できない、女性的できめ細やかな優しさをこの作品から感じた。

2017/07/20

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