化石の森 (新潮文庫 草 119-7)
化石の森 (新潮文庫 草 119-7) / 感想・レビュー
そうたそ
★★★☆☆ 石原慎太郎を人間的に嫌いというだけで、ろくに作品を読みもせずに酷評ばかり並べ立てるレビューがネットに蔓延っていて残念な限りだが、この作品に関しては傑作とは言わないまでも悪くないじゃないかという出来であることに気づく。劇薬による完全殺人に手を染めた若き医局員の姿を描く長編であるがとにかく長い。冗長としか思えない程にズラズラと書き連ねられる文章にはやや胸焼けを覚える。だがストーリー全体としては面白くテーマ性で言えば「太陽の季節」の延長線上にあるとも思える。当時にこれを読めば唸らされたものだろう。
2018/01/07
ire
小説というより脚本みたいに展開が遅い。
2016/06/06
ヤエガシ
石原慎太郎が昭和45年に書いたものを、平成と令和をまたいで読了しました。 「誰か人でも殺してやりたいほどの暑さだった。季節が狂ってしまっている。」という不穏この上ない書き出しから始まり、随所にちりばめられた、主人公の他者への嫌悪感、特に落魄した母親への憎悪の表現は、この作家にしか書けない唯一無二の力強さがありました。 暴言政治家のイメージが定着してしまった石原慎太郎ですが、ことそれが文芸の場だと、とてつもない価値を持つというのは、なんとも皮肉な話です。
2019/05/02
稚魚
慎太郎を一つくらい読むか、と思って読んだ作品。ただ、それだけ。
ささやか@ケチャップマン
非常に面白い小説であった。30年近く前に書かれたものだが十二分に現代的で、むしろ今だからこそ読まれてもいいような気がする。私としては序盤の市原の論文が菊江の境遇への伏線となっていたのは唸りたくなるほど秀逸だった。
2012/11/29
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