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幽霊はここにいる・どれい狩り (新潮文庫 あ 4-6)

幽霊はここにいる・どれい狩り (新潮文庫 あ 4-6)

幽霊はここにいる・どれい狩り (新潮文庫 あ 4-6)

作家
安部公房
出版社
新潮社
発売日
1971-07-01
ISBN
9784101121062
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幽霊はここにいる・どれい狩り (新潮文庫 あ 4-6) / 感想・レビュー

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ヴェネツィア

「制服」(安部公房の最初の戯曲)、「どれい狩り」、「幽霊はここにいる」と初期の戯曲3篇を収録。いずれも構造は似ている。「幽霊…」が最も完成度が高いだろう。「制服」はそうではないが、後者2篇の実態は、それぞれ幻の生物ウエーと幽霊を用いた詐欺に他ならない。もちろん、いずれも観客(あるいは読者)に見え透いているのだが、それにも関わらず(あるいはそれを重々承知で)安部は劇を進行させてゆく。虚が実に覆いかぶさってゆくのである。実を相対化させることで揺さぶりをかけてゆくというのが、この時期の安部の手法だったのだろう。

2020/06/20

Gotoran

退職金で日本に帰国し妻と安泰な生活を過ごそうとするも妻に殺されてしまう不条理を描いた冒頭の「制限」。見かけは人間のようだが中身は全く違う実在しない動物ウェーを登場させた痛快かつ衝撃的な第2話『どれい狩り』。”死人の写真高価買います。奇妙なビラを町に貼って悪徳ボスどもに復讐を企てる不思議な男の奇怪な幽霊商売を描いた第3話『幽霊はここにいる』。安部公房初期のユニークな状況設定でシュールな三篇の戯曲だった。

2021/10/14

Vakira

「浅はかな企みと予期せぬ展開」は僕の大好きなサスペンスのパターンだ。このパターンが僕の感性を高揚させる。浅はかな企みは悪意を感じる。だから予期せぬ展開で企みが成功しなかった時、僕はめでたし、めでたしと胸をなで下ろす。これはコボさんの3編の戯曲集ですが、もう70年前にこのパターンを作っていた事に驚く。そしてコボさんの場合それだけでは終わらない。ラストにもう一つ読み手を惑わす技が効いてます。一番普通に見える登場人物が読者を裏切る。幽霊であったり、ウェーであったり。浅はかな企みと予期せぬ展開はコメディーに変身だ

2024/03/16

yumiha

小説ではなく戯曲集だった。3篇ともお金にまつわる人間の欲望の悲喜劇。「制服」では、当時は大金だった(?)2千円をめぐって増えてゆく死人やら、「証言というのは、たしかめるもんじゃなくて、こさえだすものなんだ」(p41)という見方やらに安部公房らしさを感じた。「どれい狩り」と「幽霊はここにいる」は、浅はかに滑稽に騙されてしまう詐欺。欲の皮が突っ張ると、疑いながらも乗せられてしまうのは、現代も同じだろう。なぜか若い女性が冷静に事態を見抜いている。

2024/06/17

そうたそ

★★☆☆☆ 「友達」が面白かったのと比べると、こちらはそうでもないかな。これはこれで安部公房らしいが、やはり「友達」や「棒になった男」の方が、より自分の好きな安部公房"らしさ"が詰まっていた。

2019/11/27

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