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笑う月 (新潮文庫)

笑う月 (新潮文庫)

笑う月 (新潮文庫)

作家
安部公房
出版社
新潮社
発売日
1984-07-01
ISBN
9784101121185
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笑う月 (新潮文庫) / 感想・レビュー

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ヴェネツィア

Wikipediaでは随筆に分類されているが、本編はまぎれもなく小説だ。中には例えば「発想の種子」のように、それ単体ではエッセイと呼ぶ方が相応しそうなものもあるが、全体としては、意識的に再構成された小説である。冒頭に置かれた「睡眠誘導装置」による入眠から始まって、一旦は覚醒したかのように見せながら、最後の「密会」では、より深い眠りの中に入っていくのだ。ただし、最後の数篇を除いては、その夢が驚くほど理性的で論理的な構造の中に置かれている。安倍公房らしさがより鮮明に表れているのは果たしてどちらだろうか。

2014/01/13

ケイ

「睡眠誘導術」夢とうつつの境目はどこか。それがゾッとする。「藤野くんのこと」スミからスミまで面白かった。特にアムダの話。あれだけで傑作なネタだと思う。「蓄音機」残酷なんだけれど、大家族とはこんなものだったのだろうか。蓄音機を抱えたおじいさんは逞しく切ない。「ワラゲン考」悪意が容赦なく、それゆえの面白さ。「シャボン玉の皮」とてつもなく胸が苦しい。箱男は未読だが、その写真のテーマが恐ろしくせつない。後半の短編は、読むに堪えられない文章が多かった。夏の夜向きの短編集。

2016/07/24

ちなぽむ and ぽむの助 @ 休止中

月が笑うと貴方が言ったからみあげると満天の星だった/冷たく澄んだ紫に吐く息白くたなびく/笑う月は吉兆かと貴方の手をぎゅっと握ると/手だったものはぐずぐずに崩れてしまった/私が握っていたものは林檎だった/それは罪の果実/裸でふれあうことが自然な世界で方舟に乗りたいと私は言った/貴方がほほ笑んで先に乗せるから/当然ふたりはずっと一緒だと思っていた/波は貴方を運んでしまった/私は貴方を探す舟を漕ぎ出し/少しづつ沈んで/息はなくなって/いつか会えると/ずっと会えなかったのかと/覚めやらずつめたい

2020/12/02

ミュポトワ@猫mode

図書館本。はじめ星新一みたいなSSかと思ったら途中から作者の自伝的な話になってきた。どうやって本を書いているか、夢の内容を機をくしているかはあまり興味はなかったんだけどな…この作者、読むの初めてだし。後半はまたSSに戻ったんだけど、なんとも終わり方というか長さというか眠くなる内容で微妙でした。飽きちゃったんだと思いますw自伝部分も、論理的に文化的な内容を話して終わりに余韻を持たせるのはやめたほうが良いと思います。論理的な内容は明確に終わりをつけないと何を言いたいのかさっぱり訳が分からなくなってしまいます。

2019/07/25

Vakira

生物として生きるためには今を生きるための「食」と自分を次に繫げる「性」が必要だ。 そして忘れがちなのが睡眠だ。睡眠はあまり話題とならないが睡眠がないと生きていけない。休息という位置付けではなく意識のストップが必要なのだろう。捕食者から身を守るためには寝ない方がいい。しかし進化の過程で睡眠する生物が生き残って現在に至っている。生きるために必要な睡眠。その睡眠時に登場するのが夢だ。もしかしたら夢を見ることは生命維持に必要なことなのかもしれない。目が覚める。隣に寝ているのは妻ではない。ラヴドール。なんで??

2019/02/25

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