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カーブの向こう,ユープケッチャ (新潮文庫 あ 4-20)

カーブの向こう,ユープケッチャ (新潮文庫 あ 4-20)

カーブの向こう,ユープケッチャ (新潮文庫 あ 4-20)

作家
安部公房
出版社
新潮社
発売日
1988-12-01
ISBN
9784101121208
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カーブの向こう,ユープケッチャ (新潮文庫 あ 4-20) / 感想・レビュー

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ヴェネツィア

「カーブの向う」は、安部公房らしさが横溢した作品である。"不条理"の世界を描くのだが、カフカのそれが外に立ち塞がる不条理であるなら(典型的なのは『審判』、『城』あたりか)安部公房のそれは、内に向かって限りなく沈潜してゆく不条理である。かくして、アイデンテンティテイはやがて崩壊の危機を迎えることになる。立ち返れば、そもそも自己の存立基盤そのものまでが怪しいのであるから。これに比べれば「ユープケッチャ」の方は、ユーモラスな要素を孕んでいる。これはこれで、またしても安部公房らしい小説なのである。

2024/10/15

Vakira

【カーブの向う】 生物の一つの目的は縄張りの拡大。それによって生の可能性と環境進化が促される。生きる世界があるから生きているのか?それとも生きているから世界があるのか?あの丘のカーブの向こう、記憶がなければカーブの向こうの自分の世界はないのと一緒。未知の世界に踏み出すか?出さないかは自分次第。そして自分を繋ぐには自分だけじゃだめ。女性を見つけなきゃ。あ~いたいた。カフェのママ。あら 旦那がいるじゃん。旦那さん 失踪したらこっちのもの。

2021/09/07

GaGa

「ごろつき」が初期安部文学としては傑作なのだろう。表題作二作はどちらかと言うと今後の傑作の習作のような気がする。「ごろつき」の中に漂う無常感は戦後間もなくの閉塞感の中でしたたかさを表現していてなかなか読ませてくれる。「手段」も実験的作品ながらも私は個人的には好き。

2013/01/23

ドン•マルロー

『砂の女』『燃え尽きた地図』『方舟さくら丸』の原型となった三作を収録する本書は、極上のファンブックと言えるだろう。いかにしてそれら傑作長篇に昇華されるに至ったのか、想像をかき立てられるし、作品理解に新たな光を照射してくれもするからだ。しかし、それだけではない。ほかの六編の短編も傾聴に値する独特の音色を響かせてくれる。SFとミステリーという二兎を追うことを冒頭にて高らかに宣言し、しかも完全犯罪を遂げてしまう『完全映画』。飲みながら「ノミ」と会話する話も良い。益虫と呼ばれることが、それほど名誉なことかい?

2016/06/23

拓也 ◆mOrYeBoQbw

奇想短篇集。『砂の女』『燃えつきた地図』『方舟さくら丸』の原型となる短篇を含んだ、9篇の短篇が含まれています。上記の長篇とは違った短篇として完結してる形にしてて、単体としても十分楽しめ、他の6篇も安部氏の迷宮が味わえます。特に『方舟さくら丸』の原型『ユープケッチャ』は、短いながらも隠喩や象徴がラストシーンに集約されていくのが上手い作りなってます。全体的に”厭な物語”の雰囲気も多いので、好みは分かれると思いますが色んな奇想文学にも影響を与えているので、一読する価値はありますね(・ω・)ノシ

2016/11/16

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