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女の一生〈2部〉サチ子の場合 (新潮文庫)

女の一生〈2部〉サチ子の場合 (新潮文庫)

女の一生〈2部〉サチ子の場合 (新潮文庫)

作家
遠藤周作
出版社
新潮社
発売日
1986-03-27
ISBN
9784101123240
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女の一生〈2部〉サチ子の場合 (新潮文庫) / 感想・レビュー

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優希

清らかで純粋な愛の物語に心打たれました。第二次世界大戦下の長崎で愛し合うサチ子と修平。しかし、酷くも戦争が2人を引き裂くのが痛い。信仰がありながらもそれに反する行為をしなければならない修平、原爆に襲われるサチ子。運命はどうしてこうも辛いのでしょうね。本当の恋と人生の物語は感動を呼びます。

2017/07/13

アン

第二次世界大戦下の長崎。サチ子は祖母ミツの従姉にあたるキクに関心を抱き、コルベ神父に貰った聖句が書かれた御絵を思い出します。彼女は幼馴染の修平に心を寄せますが戦争の足音が迫り…。「愛がない世界ならば、愛をつくらねば」と、アウシュヴイッツで身代わりとなる神父の尊い姿に胸が締め付けられます。戦争と聖書の教えの矛盾に葛藤する修平、過酷な運命を背負う彼の無事を懸命に祈るサチ子。キクの劇的な人生とサチ子の歩む人生それぞれが「女の一生」であり、戦争に翻弄されながらも真摯に生きる意味を深い愛を通し考えさせられる作品。

2021/04/30

夜間飛行

戦争とはいかなるものか? それは私たちの現実とどこでどうつながっているのか? たった一人で愛を成し遂げたコルベ神父は偉大だが、苦しんだ末、サチ子の愛を通して勇気を掴んだ修平も立派である。大浦の教会で修平の身を聖母に祈るサチ子と、その後ろで自分の運命と必死に向き合おうとしている修平の姿は、悲しいけれど何か胸中を代弁してもらったような暖かさがある。この二人の姿は平成の今も他人事ではなく、日本人の誰もが我が身に置き換えうるのではなかろうか。入営後サチ子と会い、接吻だけ交わして去る修平はもう弱虫ではないと思った。

2013/07/23

Kiyoshi Utsugi

主人公は、奥川サチ子。そのサチ子の幼なじみの幸田修平。サチ子はいつの間にか幼なじみの修平に恋心を抱く。 ただ、時代はそんな二人を結ばせることなく、悲しい別れという試練を与える。 修平は慶応に進み小説家を目指すことになり、一方のサチ子(少し年下)は純心女学校に進みます。 戦争が激しさをますと、学徒動員が行われ男性の修平は戦争に駆り出され、最後には特攻隊の隊員として散っていきます。その4ヶ月後の8月9日には長崎に原子爆弾が落とされます。 そんな激動の時代に生きた男女の本当の恋を描いた名作でした。

2022/07/19

ケイ

戦争と宗教について。子供の頃から長崎で教会に通うサチ子。彼女は素直な心で信心し、迷える時、抱えきれない辛さに直面した時にはミサに向かい、マリア像に祈る。しかし、主人公はサチコであるが、「神を信じたまま人を殺せるのか、殺し合う戦争に対する教会はどのような態度をとるのか、強制収容所のような場所で信仰は意味を持つのか」と言ったことを作者が自問自答している作品にみえる。それを問うために、修平とコルペ神父の生き方死に方が描かれる。私は信仰を持たないが、コルペ神父のように愛を生み出せる人は素晴らしいと思う。

2013/09/01

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