侍 (新潮文庫)
侍 (新潮文庫) / 感想・レビュー
遥かなる想い
一人の無名の「侍」を通して、ここでもキリスト教・宗教を遠藤周作の視点で描いている。支倉常長が藩主の指示でローマ法王のもとに訪れるが、帰国すると待ちかねていたのはキリシタン禁制であり..時代のうねりの中に消えていく「侍」を描く遠藤周作の目は優しく、救われる思いがする。
ehirano1
タイトルに納得がいきませんwww。「その烈宣教師、ベラスコ」、「悲しみの烈宣教師、ベラスコ」と何処かで聞いた本のタイトルがしっくりくるのではないかと思いましたが、能々振り返ってみると、ベラスコも長谷倉常長と同じ種類の「侍」だったのではないかと思いました。そうであれば、この「侍」というタイトルの内在性理論に感服させられます。
2022/03/25
優希
人生と信仰、また日本人にとっての信仰の意味を考えさせられました。藩主の命令でローマ法王に謁見するために海を渡った侍は、その苦難の旅を続け、ローマにたどり着いたと思えば、洗礼せざるを得ない状況に追いやられます。本当に神を信じてではなく、形式的な洗礼とはいえキリシタンになった侍を待ってたのがキリシタン禁制というのが皮肉だと思わずにはいられません。政治と歴史の狭間で翻弄された人生を見たような気がしました。何とも苦しい思いにならざるを得ません。
2017/02/10
Aya Murakami
うーん…。日本史から離れて十数年…。新井白石が何をした人物か忘れてしまっている自分…。名前こそ憶えているが難易度はそこそこだった。日本史復習して再チャレンジしたい。 それにしてもささやかながらの現世利益であってもいけないことなのでしょうか?キリスト教とは厳しいものです。
2018/01/24
ehirano1
長谷倉常長が受けた沙汰のシーンには言語化できない感傷が込み上げて来て、ただただ落涙しました。彼はどうすれば良かったのでしょうか?松木の進言を受け入れる能力が必要だったのでしょうか?しかし培われた自身のアイデンティティ―とも言うべき「侍」を全否定することは容易ではなかったという言葉で片づけられるようなものではないと思います。しかし、一方で松木はそれを受け入れた事を鑑みると、長谷倉常長が思考停止に陥ったと判断されても仕方ありません。なんと残酷なことよ・・・。
2022/10/21
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