邪宗門 下 (新潮文庫)
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邪宗門 下 (新潮文庫) / 感想・レビュー
九曜紋
上下巻あわせて1000ページ超を読み終え、満足感とともに虚脱感に襲われた。昭和初期の暗い時代背景の中、貧しさと飢餓、国権の発動たる戦争の理不尽と悲惨、戦時下の人間存在の闇、敗戦後の無秩序と再びの飢餓、宗教の理想と狂気の両義性、等々。深く観念的でありつつ高踏的な文体は高橋和巳以外には書きえなかっただろう。40年の時を隔てて改めて感動した。
2021/09/27
nino3
(上巻より続く)主要人物である教団の第三代教主となる千葉潔の回想。従軍中、捕虜を銃殺したこと。そして加害者の気持ち、加害行為をしているうちに愉悦が起こると感じる。戦闘機から地上の子供の表情を確認した上で爆撃していく敵兵の心情を理解できると考える。 そして最終章での千葉潔の破滅につき進んでいく行動は、どうしても共感できなかった。理想の実現のためにエリートが民衆を動かしていくという考えは思い上がりではないのか。生きのびていけなくて何の理想なのか。
2018/10/31
47
生きるとはなんだ。何故人はこんなにも醜く弱く、そして美しく強いんだ。何故だ。何故だ。
2011/09/16
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