人間にとって (新潮文庫)
人間にとって (新潮文庫) / 感想・レビュー
獺祭魚の食客@鯨鯢
学生時代に読んだ本を再読。著者は科学者シュレディンガー「生命とは何か」の一節を引用しています。「全ての物質はエントロピー増大の法則に従って放っておけば無秩序化する。ただ生命あるもののみが、負のエントロピーを吸収することにより無秩序化に抵抗する島々を形成している」と。 哲学者からの考察文に科学法則が引用されたことに驚き、爾来生命を考えると必ずこの法則が思い浮かぶようになりました。 宇宙は死に向かい生命のエネルギーを拡散させようとしている。それに抗って懸命に活動し続けることが生きるということなのです。
2020/03/03
酒井一途
絶筆となった表題作含む33編を収めるエッセイ集。三島由紀夫割腹を論じた「自殺の形而上学」が素晴らしいが(思想的には左派であった著者が三島と対談し懇意にしていたことも注目に値する)、他にも1編毎に広範な知性が伺える。高橋和巳には大いに影響を受けそうだ。
2012/03/26
パストゥーレ
古本屋の親父の勧めで読み始める。初めは硬くて小難しいと思ったが、しばらくすると慣れる。そして、止まらなくなる。読み終わった頃には、「人間にとって」という響きまでもが好きになった。
2021/09/10
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