美しいアナベル・リイ (新潮文庫)
美しいアナベル・リイ (新潮文庫) / 感想・レビュー
のりまき
長いこと、積ん読してたのをやっと読む。改題前のほうが好きだったな。ドタバタ劇として読むほうが楽。サクラさんに肩入れするよりは。サクラさんは強い女性だけど、その境遇を考えると苦しくなってしまう。
2024/02/04
ヴェネツィア
一見したところは私小説風に書かれている。しかし、物語の核をなすヒロインのサクラさんは、その存在自体がどうやらフィクションのようなのだ。しかも、大江にとってはきわめて重要な「メイスケさん」や長男の光までをもメタフィクションに巻き込んでいく。大江文学の新しい表現の方法がここにあると見るべきなのだろうか。今すぐには、どう評価していいのか悩むところ。
2012/04/27
kaze
メイスケ母に「良かったか」と聞いたのは大江健三郎自身ではなかったか。彼の残酷性ではないのか。サクラさんの快復の物語とみる向きもあるようだが、私には三者三様の老醜にしかみえなかった。
2022/10/15
モリータ
古い方から読むという原則はどっかに行きましたが、さっと読めました。
2015/12/18
ゆとにー
エッチな本かと思っていたら、障害を持った子供が生まれて以降の、虚実をないまぜに書くことで作者に隣接する虚焦点を立ち上がらせるフィクショナルな私小説のスタイルに、時間・空間・形式の異なるテクストを、構図を重ねつつ次々と引用して複雑に織り込んでいく、圧巻の総合力に目を見開かされる本だった。その筆力には脱帽したが、『個人的な体験』から引っかかっている「恢復」は今作でも成り立っているのか疑問に残った。
2023/04/12
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