夕陽の河岸 (新潮文庫 や 6-7)
夕陽の河岸 (新潮文庫 や 6-7) / 感想・レビュー
新地学@児童書病発動中
安岡章太郎氏の晩年の作品集。短編と随筆を収録。長く活動した作家の晩年の作品は、窮屈な文学の枠組みを超えた味わいを感じることがあるが、安岡氏のこの本にもそれを感じた。時間や構成にこだわらずに、自由な感性で自分の生き様や人生の途上で出会った人たちのことを書きとめている。川端康成文学賞を取った「伯父の墓地」が傑作。頑固に土葬にこだわった伯父の最期を書きながら、日本人の持っている死に対する細やかな感受性を、味わい深い筆致で描いている。
2014/11/05
メタボン
☆☆☆★ 自伝的な短篇とエッセイ。作者本人があとがきで述べているように、そこの垣根は曖昧。ただ滋味あふれる文章が良い。
2022/06/21
sakadonohito
短編とエッセイてきなもの。あとがきで小説と随筆で区分けするのを好まないようなことを述べられていた。読んでの感想はあまりピンと来なかったが犬が好きな人だったのだろうなぁと感じた。短編はどれも過去を思い起こし何かを見つめ直しているような作品で味わい深い。
2023/01/21
マリリン
短編10作品(著者は短編と随筆に分けていいのか迷うと記されていた)すべて懐古的な情景が脳裏に浮かぶ。『犬』『夕陽の河岸』『叔父の墓地』は特に印象深い。『朝の散歩』に書かれた芥川・川端両氏の「末期の眼」は興味深く読んだ。いずれ確実に訪れるその時に見えるのか、何が見えるのかを想う。日本文学のよさを改めて感じた良い作品だった。
2017/10/16
hirayama46
はじめての安岡章太郎。おお、たいへん好み。なんでいままで読んでいなかったのだろう……。第三の新人に分類される作家は波長が合う気がします。/本書は私小説的な短編集。いずれも大げさでないさりげなさでもって語られるお話で、あとがきで言うところの「うま味」のある作品群でした。「伯父の墓地」における自転車の描写などの細部が本当に良い……。表題作の旧友の追憶も、記憶の遠さと鮮やかさの同居する絶妙さでした。
2019/03/10
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