楡家の人びと 第一部 (新潮文庫)
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楡家の人びと 第一部 (新潮文庫) / 感想・レビュー
ゴンゾウ@新潮部
明治から昭和の激動期を駆け抜けた医師一族の物語。著者北杜夫氏の祖父の時代からをモデルにしており、個性ある登場人物をユーモラスに描くなど一族に対する愛情が所々感じられる。序盤は一代で大病院を築き衆議院議員までになった祖父基一郎が主人公。絶頂期から震災、火災を経て没落してもなお、再建を諦めない姿に明治人の逞しさを思う。
2017/03/26
NAO
トーマス・マンの『ブッテンブローグ家の人々』の影響を受けた作品。東京の青山の脳病院を舞台に、カリスマ的な初代医院長の成り上がっていくさまと、彼に多大な影響を受けた者、受けなかった者の、人間模様が描かれていく。
2022/06/28
nakanaka
作者・北杜夫の祖父である斎藤紀一をモデルとし、その家族を描いた半自叙伝のような作品。第一部は楡脳科病院の創業者・楡基一郎が亡くなるまでの内容でしたが、関東大震災や病院の火災、次女・聖子の死など後半の展開が目まぐるしく、読み応えがありました。登場人物をユーモラスに描きつつも、どこか孤独と寂しさのようなものを感じさせる描写に惹き付けられます。山形の偉人・斎藤茂吉が斎藤紀一の養子であることや、精神科医であることも初めて知りました。第二部、三部が楽しみです。
2022/12/28
harass
大病院の一族の年代記。明治大正の社会情勢と一家の者たちそれぞれの人間模様が繰り広げられる。第一部は一代で病院を築いた基一郎が中心。躁病気味の才能あふれる彼は政治の世界に足を突っ込むが関東大震災が…… 第一部終盤で基一郎は亡くなり、残される子供たちと時代は昭和に入る。著者はマン『ブッテンブローク家の人々』に感激したのと、著者自身の病院一家の歴史も参考にして書いた大河小説。はるか昔以来の再読。登場人物のキャラが立っているのと古典的な物語小説のため、非常にさくさく読み進められる。是非オススメの本。
2016/06/22
優希
病院を一台で築くというのに驚かされました。屋根の下、それぞれの生を紡いでいく。ユーモラスで賑やかな年代記が始まるのですね。続きも読みます。
2021/12/11
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