香華 (新潮文庫)
香華 (新潮文庫) / 感想・レビュー
カピバラ
朋子が可哀想でしかたなかった。恥を知らない母親と、それによく似た種違いの妹に搾取される様は読んでいて辛かった。都合のいい時だけ、たった1人の母親だろうと情に訴えかけるのは卑怯よねぇ…。郁代が死んだときの朋子の涙は何を思っていたのだろうか。
2016/07/08
James Hayashi
時代は明治末期より昭和の終戦後まで。母と娘のギスギスの関係。時代の流れとともに、花柳界の女の生き様を描き、当時の女性の心理、社会的地位、母娘の関係など読み通せる。これは女性が読めば深い嘆息を覚えるに違いない。女性作家ならではの作品。
2017/04/08
ぐうぐう
超ド級のおもしろさ! 明治末から第二次大戦後までの、母と娘による、強烈なる人生。奔放な母・郁代の、その自由すぎる生き方に、娘・朋子は反発し、嫌悪し、振り回されながらも、抗えない血の濃さに、何度となくひれ伏す。おぞましく思えた母と同じ年齢になる度に、朋子は郁代を追うような生き方をしていることに気付かされる。それでいて、母がなんなく手にしたものを、何ひとつ自分が持っていないことに愕然とさせられるのだ。その逃れられない親子という関係の相克こそが、本作の最大の読みどころだ。(つづく)
2015/03/06
ken_sakura
安定と信頼の面白さだったp(^_^)q母と娘の親子をテーマに、娘の一代記として娘視点で描かれた物語。母娘の親子の愛憎がちと重め。最初で興味を引き、内容は起伏に富み、ラストは静かな納得。香華は起承転結の上手さが今までより強く感じられた作品だった。著者の本は8冊目。いずれも圧倒的な品質(^^)ここまで読んだ有吉佐和子の著書でどれが面白かったか、を考えるのが面倒になってきた(絶賛)
2015/04/10
マカロニ マカロン
個人の感想です:A。明治末から昭和35年までの約50年間の祖母、母、娘の3代の確執と親子の情愛を年表的に時代背景を取り入れながら描いた大河ドラマのような小説。舞台も和歌山県、静岡市、東京と転々とするのでなおさら大河ドラマ的だ。保守的な祖母、常に男に寄り添おうと奔放な生き方をする母、そんな母に芸者として売られてしまい、反発しながらも常に母を意識せざるを得ない娘。娘は先見性があり、関東大震災や東京大空襲で全財産を失いながらも、パトロンの助けですぐ立ち直っていく強かさがある。女性の強さが感じられる、お薦め小説。
2015/12/14
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