悪女について (新潮文庫)
悪女について (新潮文庫) / 感想・レビュー
青乃108号
栄華を極めた虚飾の女王、富小路公子に関して関係者27名へのインタビューを纏めた形式の本。関係者は主だった者が全員、網羅されているし、その都度話し言葉も変えてその人となりもそれぞれ完璧に描き分けている事に感嘆しきり。それ故どの証言もこれは本当に違いない、と俺などはすぐ信じてしまうのだが、複数の証言を合わせると公子の全体像が段々と浮かんで来る仕掛けだ。証言の間にはそれぞれ齟齬があるものの、全てが公子の嘘のせいだろう。公子は男を踏み台にしてのしあがった、稀代の悪女。面白い。前のめりになる程読まされた。愛ですわ。
2024/07/02
JKD
富小路公子とは何者なのか。彼女に関わってきた27人それぞれが彼女の本当の姿を語るが、人によってその内容は異なるどころか食い違いだらけで真実と虚偽が入り乱れ善人と悪人の区別も曖昧なまま話が終わる。結局なんだったんだろうと思う反面、当初抱いてた「あんな死にかた」がどんな死にかたなのかは気にならず不思議な余韻だけが残りました。真相がわからないまま終わる心地よさ。まああ。なんということでございましょう。
2020/05/10
南北
美貌の女性実業家富小路公子が謎の死を遂げる。その人物像を巡って27人の人物1人1人にインタビューする形式で書かれている。面白いのは富小路公子はインタビューされた人たちの回想の中で出てくるだけで本当はどういう人物だったかわからないところだ。ある人物は悪女といい、それを裏付けるような別の人の証言もあれば、全く否定するような話も出てくる。富小路公子の口癖が「まああ」という間投詞なのだが、この一言で人物像が浮かび上がってくるところも良かった。40年以上前の作品だが、今読んでも面白いと思う。
2021/07/23
小梅
子供の頃に見たドラマが忘れられずにいたが、当時は原作とか何も分からずにいました。 高校生になってから書店で見つけ、有吉佐和子を知るきっかけになった作品。 謎の女性の死んだ後、彼女と関わりのあった人々がインタビュー形式で証言していく。
2013/07/22
ミッフー
いつの時代も何処の場所にも、男も女も関係なく、虚言癖の人っているものです🤔同本はブルジョワ志向強く、金儲けの才覚に恵まれた少し美人な公子が繰り出す虚言、詐欺行為のオンパレードを、彼女に関わった人々がインタビュー形式で回答していく本📖貫井氏辺りは多分こういう構成本の影響を受けたのでしょう✨まぁ、人格って何重にも積み重なった経験や遺伝子から成ってるもの、断片的判断で決めてはダメ❗️分かってるけど、僕は多分公子に騙される男💦「信じられぬと嘆くより、人を信じて泣くほうがいい♫」と、金八先生も歌ってたしね😅
2019/06/03
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