身がわり: 母・有吉佐和子との日日 (新潮文庫 あ 5-70)
身がわり: 母・有吉佐和子との日日 (新潮文庫 あ 5-70) / 感想・レビュー
ミカママ
玉青さんのご本はいくつか読ませていただいたけどれど、有吉佐和子さんのお嬢さんであるということしか知らなかった。有名作家を母上に持つご苦労を冒頭でサラリと語られているが、総じておふたり(お祖母さまも含め3人か?)はとっても仲良しだったそうだ。その母上を彼女はなんと20で亡くしている。突然の訃報は、留学先のロンドンに知らされたそうだ。その孤独感は想像を絶するな。わたしなど80過ぎの両親、死なないかも…と思い始めているくらいで、本当に恵まれていると思う。彼女の作品いくつか積んでいるので、これを機会に。
2020/02/23
扉のこちら側
2018年84冊め。英国留学中の訃報、20歳の喪主。ネット社会の今とはまた違った方面でプライバシーがない時代の有名作家の娘としての青春。英字新聞の”She's survived by her daughter."についてのエピソードが興味深い。
2018/03/25
KEI
著者が25歳の作品。有吉佐和子という大きな母親を前にして、ある時はその親バカぶりにヘキヘキしたり、反発したり、避けたりしながら、自らのアイデンティティを探る様が伝わって来ます。そして、母親は自分の為に生きていたのではなく、母親自身の為に小説を書くことで、自らを生きていた、その母の存在の大きさを失ってから実感したと言う述懐は胸に迫るものがありました。文章に硬さはありますが、有吉佐和子ファンに取って、知られざる一面を垣間見た様に思います。我が子の名付けについて書かれた佐和子氏の文章を思い出しました。
2016/12/19
pirokichi
20歳の時に母・有吉佐和子さんを突然喪った娘・玉青さんが25歳時に記した母との、母と祖母の三人暮らしの思い出。あの母にしてこの娘あり。偉大な母をもった葛藤等自分の内面を冷静にしっかり言語化できる才能に驚いた。玉青さんが描く母はとてもチャーミング。複雑な思いを抱きながらも大好きなお母さんであることがひしひしと伝わる。「私のために、彼女は生きた。それならこの突然の別れもまた、彼女の愛の形だったろうか」。『身がわり』というタイトルに玉青さんの「我、生きん」覚悟が感じられる。とてもよかった。解説は林真理子さん。
2022/10/05
陽
母親が有名作家である娘の生活。 親の作品を読むまでには長い月日が必要なのはわかるような気がするけど、母の作品を読み、母の感性を親としてでなく一人の人間として、どれほど偉大な人間なのか、特殊な人なのか?身に染みるだろうな。 後に娘も作家になるのだけど、亡き母に問うことだろうな。 ただ、祖母よりも先に亡くなった母への祖母の心境、大物作家を生み出した祖母のただ者でない心情がこの作品の核心なんだろうな。
2017/01/22
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