硫黄島に死す (新潮文庫)
硫黄島に死す (新潮文庫) / 感想・レビュー
サンダーバード@永遠の若者協会・怪鳥
戦争を舞台にした短編集。表題作「硫黄島に死す」は、西中佐に焦点をあてて書かれた作品。ロサンゼルスオリンピック金メダルの栄光から、生還期し難い激戦の硫黄島へ。そして玉砕。華族(男爵)という地位にあり、国民的な英雄であった彼がこうした戦地に送られたのは、当時「国際派」、「親米派」とみなされていたからであろうか?★★★
2016/12/29
ふじさん
表題作「硫黄島に死す」は、ロサンゼルス・オリンピック馬術大障碍の優勝者・西竹一中佐の硫黄島玉砕での悲劇を描いた戦記小説。馬術という貴族的なスポーツを愛した国民的英雄の姿を哀惜悲傷の念を巧みな構成と力強い文体で描いた渾身の1作。読んでいて心が痛んだ。他の4編の戦争小説も、大陸の前線と南の島の銃後、少年戦車兵と空の少年兵等実話と虚構が入り交じり、舞台も登場人物も主題も色合いも異なる。大きな特徴は、どの作品も作者が少年の視点で戦争を見ていることだ。著者の戦争体験と深くかかわった作品。読み応えあり。
2024/09/04
ゐづる
硫黄島で戦死した西中佐を描いた表題作だけでも読む価値あります。西中佐のかっこよさ、男としての生き様が凝縮されています。個人的には「軍艦旗はためく丘に」が印象的。宝塚航空隊を描いた作品で、彼らが淡路島・阿那賀沖で戦死したことは今の今まで全然知りませんでした。また今度阿那賀に行って、慰霊をしたいと思ってます。戦争のときは、似たような悲劇が全国で起きていたんでしょうね。実際に従軍した人の作品はやはり説得力がものすごいです。
2014/08/20
馨
予科練の話が印象的でした。当時の若者はとても純粋で、国の為に散っていった方々が沢山いたことに胸が締め付けられます。同じ日本人として頭が下がる思いです。
2013/01/12
金吾
○軍における逃れない運命について考えさせられます。城山さんの淡々とした語り口がますます現代との違いを身に滲みさせていきます。表題作と「草原の敵」が良かったです。
2022/03/28
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