落日燃ゆ (新潮文庫)
落日燃ゆ (新潮文庫) / 感想・レビュー
遥かなる想い
第28回毎日出版文化賞・第9回吉川英治文学賞受賞作。文官でただ一人、A級戦犯となり、絞首刑となった広田弘毅を描いたもの。著者の広田弘毅への目は優しく、吉田茂とは対比的に書いているのがひどく印象的だった。最後の潔さも含めて、ベストセラーになったのもわかる好著だと思う。
馨
とてもわかりやすかった。 優秀な外交官だった広田氏、もしも違う時代、あともう50年後に生まれていらっしゃれば、きっと良い日本を作るために世界中で活躍し広く評価されただろうと思います。 それにしても、当時の日本は一個人の意見など通る余地もないほど戦争へ向かって軍部も国民も一直線だったんですね。賢い人は日本がどうなるかわかっていたけれど一握りだった・・。
2013/01/23
Hideto-S@仮想書店 月舟書房
「物来順応」「自ら計らわぬ」の信条を貫いた一人の男の生涯。青年時代に尊敬できる上司と出会い、外交官を自らの使命と定めた広田弘毅氏。時代の渦により外相、さらに226事件直後に総理に祀り上げられた。増長する軍部と向き合いながら、命を賭して戦争防止に努めながら、東京裁判ではA級戦犯として絞首刑を宣告された。刑執行に際して、軍人が「万歳」を叫ぶのを「マンザイ」と呟き、運命を従容として受け入れた。同期の野心家・吉田茂との比較が壮大な物語に一層の奥行きを加える。毎日出版文化賞・吉川英治文学賞に輝く伝記小説の傑作。
2015/08/16
ehirano1
彼の功罪は別として、「自ら計らわぬ」の生き方には深く共感します。それは彼が東京裁判の中で一度も弁明しなかったことにも表れていたのではないかと思います。政治家としてはかなり不器用な(=いい人過ぎ)人材だったのではないかと思いますが、彼が生きた時代が悪すぎた、無念!
2023/07/15
ykmmr (^_^)
以前から疑問なのだが、スーツ男の広田が、絞首刑になったA級戦犯の中で、いつも東條に続いて二番手に名前が挙がっている。そこからもう、違うなあと思ってしまう。元々、政治とはあまり関係のない家柄から、『秀才』と周囲に担ぎ上げられて、両太閤に近い出世ぶりを果たす訳だけど、『実力』以外の彼を囲む物がキツくて大変であったのではないかと同情すらしてしまう。幣原・近衛・松岡らと右往左往しながらの駆け引き、ヨーロッパの国に目が効きながらも誤解されて、生家と当時のテロ的集団の関わりも、当時では処罰対象。
2021/12/15
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