勇者は語らず (新潮文庫 し 7-19)
勇者は語らず (新潮文庫 し 7-19) / 感想・レビュー
shincha
本作品は虚構によるものであり、実在する人物や企業とは一切関係がないことをおことわりします。と後記の最初に書いてある。これは正に実在している企業をモデルにしているんですよ〜と宣言しているようなものだ。日本の自動車産業の創成期、乳母車にエンジンの付いただけのような車と揶揄され、蔑まされた日本の自動車産業は、故障率の低さ、燃費の良さ、塗装の良さなどでアメリカに勝負を挑む。無理難題を投げられ、それを一つ一つ解決して来た下請企業の凄さの結集だ。主人公の1人、山岡には最後まで活躍して欲しかった。
2024/07/09
シュラフ
センシティビティ・トレイニング(ST)の場面が出てくる。受講者同士に議論をさせて相互批判をさせて受講者本人が組織の中で身につけている"鎧"をぬぎすてさせる訓練。高度に発達した管理社会でさびついた人間をぶち壊す荒療治だという。この訓練で自分を見直した山岡とあくまでも自分を守った冬木。冬木は川奈自動車がはじめて進出した米国現地工場の責任者として乗り込む。そして下請けの山岡にも進出を促す。熱い山岡と冷たい冬木という真逆な二人であるが、山岡もまた米国進出を決意する。男同士の友情と自動車業界の米国進出を描いた作品。
2015/09/27
まつうら
自動車メーカーの幹部社員冬木と、下請け部品メーカー社長山岡の対比と友情が織りなす物語。最後は時代の流れでアメリカに進出していくが、冒頭で出てくる感受性訓練のことがすごく気になった。 もし自分がこの研修に参加したらどうするだろう? おそらく率先してベラベラ喋ったりはしなくて、冬木みたいにじっと観察しているんじゃないかと思う。でも、そんな状況に何時間も耐えられるのだろうか? もし機会があったら、感受性訓練を受けてみたいと思うが、ちょっと怖いような気もする。。。
橙夜(とうや)@積読消化強化中📚
城山さん作品は初めて。とても面白かったです。他の城山さん作品も読みたくなりました♪今では日本の自動車は海外でも認められてるけど、この時代は本当に本当に大変だったんだな。そして、この時代に頑張ってきた人達がいるから、いまの日本があるんだと改めて思いました。
2015/10/22
いちの
ラスト20ページ、「翌朝、冬木は珍しく寝すごした。」から始まる切なくて息苦しい展開がなんだか印象的で、何年か後にもふと思い出す気がします。語らぬ勇者たちが高度経済成長を支え、様々な犠牲を払い、苦悩しながら今の日本に繋がる礎を築いた。そのことを覚えていたいと思いました。 インパクトを感じたところを2箇所、コメント欄に書き残します。
2022/05/27
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