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ながい坂 (上巻) (新潮文庫)

ながい坂 (上巻) (新潮文庫)

ながい坂 (上巻) (新潮文庫)

作家
山本周五郎
出版社
新潮社
発売日
1971-07-19
ISBN
9784101134178
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ながい坂 (上巻) (新潮文庫) / 感想・レビュー

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ヴェネツィア

山本周五郎の最後の長編小説。上下巻合計で1000ページを超える。これだけの長編であり、また初出は「週刊新潮」での連載であったらしいが、構想は最初からかなり堅固なものであったと思われる。それは、巳年と亥年の騒動が重要なキー・コードになっていることでも明らかだろう。封建社会に生きた武士たちを描きながら、例えば藤沢周平はその如何ともしがたい桎梏の中で生きる道を語るのだが、山本周五郎はより自由な方法を採った。本書の主人公の主水正の破格の抜擢がそうであるし、藩主の昌治の設定も危機と隣り合わせとはいえ自由である。

2021/07/29

nakanaka

山本周五郎による最後の長編。徒士組の長男として生まれた阿部小三郎の成長と出世を描いた大作です。幼少期に経験した屈辱を糧に学問と剣術に精を出し見出されていくわけですが、奢ることも媚びることもない彼の真っすぐな生き方に惹かれます。上巻では治水工事を巡る話や妻との関係などが中心ですが、下巻でどんな展開が待っているのか楽しみで仕方ありません。

2019/11/14

びす男

「人間はいつも、正しいだけでは生きられない」。肩肘をはって生きていく主人公の姿が痛々しい。低い身分からひたすら自らを鍛えあげ、藩政を牛耳る権力者たちを相手に立ち回る。上からは警戒され、下からは裏切り者と目され、友達はいない。読んでいて「頑張れ」と思いながら「そこまで頑張らなくてもいいのに」、とも感じる。ながい坂を脇目もふらずに登り続ける主水正。登りきったとき、いったいどんな景色が広がっているのだろう。それが豊かな、救いのある風景であることを期待しながら読み進める。

2017/06/11

タツ フカガワ

下級武士の家に生まれた小三郎は、8歳の時に遭遇したある体験がきっかけで勉学と剣術に励み、やがて若き藩主飛騨守昌治の側小姓に抜擢される。さらに城下を襲った大火での16歳とは思えぬ迅速な対応と事後処理で与力へと昇進するが、同輩からは妬まれ、上からは疎まれる。が、小三郎には三万坪の荒れ野へ水を引き、そこを新田にする壮大な夢があった。久しぶりの三読目ですが、いやあ面白い! 藩主飛騨守の上意により始まった新田開発だが、藩内で藩主失脚の動きがあることを小三郎が知ったところで下巻へ。

2024/02/04

たか

上下巻合わせて千頁を超える大作。題名通り、本当に長い作品だ。 この長さの中に、理不尽な物事に対する怒りや、どうしようもない挫折、生きることの苦しみ、愛の喜びなど、人の人生そのものが描かれている。 ▼才知に恵まれつつも身分の低い武士の子・主水正。幼少期から彼の前に立ちはだかる妨害、嘲笑、佞臣たちの圧力、貧困、家族の没落や死…。数々の試練に対して、尋常でない努力と精神力で成長していくー。現代に生きる我々に、『今日一日頑張ろう。そうすれば明日もできるかもしれない』というメッセージを伝えているようだ。C評価

2023/01/08

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