松風の門 (新潮文庫)
松風の門 (新潮文庫) / 感想・レビュー
ehirano1
標題作について。なんとも残酷な話ではあるのですが、残酷さの裏には言語化し難い「美しさ」を感じます。「美しさ」にもいろいろあるとは思いますが、哀しい美しさを体感できた読書となりました。
2024/06/03
ももたろう
4年半ぶりの再読。この本は、私が人生で初めて本格的に読書に取り組もうと決意し、一番最初に手に取った思い出の作品。あの当時はこの短編の作品を一つ読むのに2時間以上かかったのをよく覚えている。今読んでみると、じっくり味わいながら読んでも30分ほどで読み通すようになっているから、多少は読解力がついたのかもしれないと思った。久しぶりに読んでみて改めて思ったけど、周五郎はやっぱり別格。本当に稀有な作家。心底から大好きだ。この作家をもっと多くの人に読んでもらいたい。できるだけレビューをたくさん書こう。
2016/10/30
のびすけ
13編の短編集。おたふく三部作の三作目「湯治」のおしず・おたか姉妹がすてき。二人の掛け合いがとても楽しい。周五郎作品の中でも特に好きなキャラクター。「薊」は、現在と過去(回想)が混濁しながら描かれる妖しい性の世界がとても印象的だった。その他では、こっけいものの「評釈堪忍記」、鼓の名手お留伊が音楽への向き合い方に気付く「鼓くらべ」が面白かった。
2024/07/31
きょちょ
短編13作。 「表題作」は、軍国主義時代に彼が数多く描いた「忠義・忠節もの」だが、私はこれらの作品群が好み。 「鼓くらべ」は彼が得意とする人間の成長の話。 「評釈堪忍記」はこっけいもので面白い。 「湯治」はの登場人物は他の作品でもでてきたが、家族愛が描かれている。 「ぼろと釵」は居酒屋を舞台にした話で、他にも似たような作品はあった。 「薊」と「醜聞」はどちらも夫婦ものだが、後者が好み。 「失恋第五番」は江戸時代でなくサスペンス要素のある現代もの。しかし、戦争後の日本人の1面を捉えている。 ★★★
2020/06/02
金吾
○それぞれの話の主人公が魅力的です。山本周五郎さんの話は理想的すぎるかもしれませんが、いい話が多く大好きな作家です。本作では「狐」と「評釈堪忍袋」が好きな作品です。
2020/10/29
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