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町奉行日記 (新潮文庫)

町奉行日記 (新潮文庫)

町奉行日記 (新潮文庫)

作家
山本周五郎
出版社
新潮社
発売日
1979-03-26
ISBN
9784101134307
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町奉行日記 (新潮文庫) / 感想・レビュー

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KAZOO

山本周五郎の短編集です。題名からすると「寝ぼけ署長」のような連作ものを期待していたのですが、時代物の短編がいくつか収められていることでその一つがこの題名となっています。最初の「土佐の国柱」は山内一豊の重臣がいかに民心を前の土佐の守の長曾我部一族から山内家に帰属させるかを身をもって行わせるかということで「樅の木は残った」を思い出しました。その他の作品もかなり読ませてくれて表題作はかなり面白い話となっています。この作品集は楽しめました。

2023/05/10

ふじさん

表題作「町奉行日記」は、町奉行となった放蕩児望月小平太が軟派な手立てで藩の汚職を一層するという娯楽性豊かな作品。「土佐の国性」「晩秋」「落ち梅記」は、己を捨て、侍とししての筋を通す厳しくも美しい物語。「寒橋」は、市井もので娘婿のあやまちを背負ってあの世に逝った父親の娘への愛情を捉えた作品、娘・婿・父親の思いが交錯し味わい深い。「法師川八景」は、つぢの毅然とした勇気ある生き方に感銘を受けた。「霜柱」は、武家もので妥協することなく放蕩息子を斬る父親の気持ちは痛ましい。それぞれ読み応え十分。

2022/07/31

じいじ

10短篇集。26作目の山周小説だが、懐の広さ、そして時代小説の面白さをしみじみと実感しました。中での【落ち梅記】は、理解不十分で二度読みした。最初は、あまりにも潔い主人公に憤りさえ感じた。或る日唐突に、主人公は相思相愛と思っていた女性から、彼の親友と結婚したいと告げられる。妻と決めた女を奪われたのだから、二人を簡単に許すことなど出来ないハズだが…。どこまでこの二人を許せるか? 著者の結論は、ご自身で確かめを乞う。とにかく面白い、山周小説からもう抜けられそうにありません。 

2022/08/29

nakanaka

10編から成る短編集。コメディ色の強い作品からシリアスな人情ものまで幅広い内容でしたがいずれも名作揃いでした。他人の罪を何でもかんでも自分のせいだと言う主人公を描いた「わたくしです物語」はまるでコメディドラマを観ているような感覚になり笑えました。また破天荒な町奉行の活躍を描いた「町奉行日記」はただの勧善懲悪ではないからこそ痛快で面白かったです。短いながらもある親子について描いた「霜柱」は子育てについて考えさせられ涙を誘います。凄い作家だとまたまた実感。やっぱり山本周五郎は良いなぁ。

2018/06/20

優希

20年間に渡って書かれた短編10編が収録されています。短い中にも信念みたいなものを感じずにはいられません。心があたたかく、前向きになれそうなのに、しんみりとした読後感を抱きました。厳しくも美しい物語だからこそでしょうね。色々な武士の声を聞いたような感覚になりました。

2015/01/11

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