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ながい坂 下 (新潮文庫)

ながい坂 下 (新潮文庫)

ながい坂 下 (新潮文庫)

作家
山本周五郎
出版社
新潮社
発売日
2018-11-28
ISBN
9784101134833
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ながい坂 下 (新潮文庫) / 感想・レビュー

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KAZOO

後半は、この藩の陰謀などがあるものの、藩主や主人公の働きなどでそれを食い止めます。また主人公の夫婦生活もぎくしゃくしていた若いころに比べるとしっとりとしたものになります。城代家老の息子を立ち直したりしながら最後は城代家老にもなります。山本さんの最後の長編ということで、最後もほかの有名な長編と比べるとハッピーエンドになっています。

2024/09/02

ふじさん

心血を注いだ堰堤工事は中止となり、藩主継続を巡る争いの渦に巻き込まれるが、藩主飛騨守昌治の周到な策により藩の内紛は収まり、その功績により、三浦主水正は城代家老になる。山本周五郎が、「わたしの自叙伝を書くのだ」と意気込んで書いた作品とか。まさに、重い荷を背負って長い道を歩む主水正の人生行路、たゆむことのない勉励や限りない孤独、人間であることの喜びや悲しみや悩みが、読者の心を鷲掴みにする。主水正に生き方は、山本周五郎の作家としての生き方そのものだと思った。

2022/10/15

AICHAN

図書館本。下巻だから“坂”が下りになるわけではなかろうと覚悟してページを開いたら初っ端から話が大きく動き出し、あれよあれよという間にでんぐり返り、さらに話は上巻の遅いスピード感とは違って早い展開でぐいぐいと進む。かと思ったら中盤からまたスピードが落ち、“ながい坂”の登りに戻った。最後はまたスピードが増したものの、主人公の慎重さにはじれったい思いをした。人の一生はいくら努力してもうまく行かないことが多いと思わせてくれる作品だった。『樅の木は残った』を凌ぐ大作。

2022/02/10

ソーダポップ

下巻読了「おれは少年のころから、脇見をする暇さえなく、けんめいにながい坂を登ってきた」と一節にある。多くの困難を乗り越え、気がつけば三十八歳。今日まで自分の坂を登ってきたのだと主水小は半生を振り返るシーンが印象に残った。「もっと険しく、死ぬまでその坂を登り続けなければならない」と決意を新たにします。同作家の「樅木は残った」(上・中・下)も読んだが、山本周五郎という大作家の人間の内面の捉え方や懸命に生きる人を讃える姿勢に感動を覚える。大変よい作品でした。

2022/11/23

kawa

下巻に入って一気のステージ・チェンジ。えっ?えっ?と思いながら、いつの間にか手練の技に踊らされ見事な大団円へ。堪能、ふぅ~。重い荷物を追って長い道を行く主人公・主水正(もんどのしょう)、「私の自叙伝として書くのだ」(解説)の山周先生の意気が乗り移った成るほどと思える佳作。次は後期長編3部作の最期「虚空遍歴」だ。

2020/05/29

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