夜あけ朝あけ (新潮文庫 す 1-1)
夜あけ朝あけ (新潮文庫 す 1-1) / 感想・レビュー
新地学@児童書病発動中
母を亡くした4人の子どたちが必死になって生きていこうとする物語。労働の厳しさと生活の苦しさが、素朴な文体で描かれている。読みながら「額に汗して」という言葉を思い出した。あまり使われなくなった言葉だが、その言葉がこの物語にはよく当てはまる。必死になって働かないと、彼らは生きていけないのだ。生きることや働くことの意味を、もう一度考え直したくなる物語だと思う。生活の描写は辛いのだが、栃木の田園の描写は瑞々しく繊細で、私が子供の頃に暮らしていた田舎のことを、懐かしく思い出した。
2017/02/26
のびすけ
両親を亡くした貧しい農家の4人の子供たちが、自分たちの力で懸命に生きていこうとする物語。現実を受けとめ、必死に農業に取り組み、希望を持って日々を暮らす兄妹たちに底知れぬ逞しさを感じた。亡き母への思い、兄妹たちの信頼関係、四季が移ろう田園風景。どれもが純粋で美しい。
2023/02/28
のせ*まり
兄弟姉妹を取り巻く環境が思ったよりヘビーで、途中読み進めるのがつらかった、、、簡単な言葉で語られるからこそ、身につまされるものがある。今の不景気な日本に重ねてしまって、単なる美談で終わらせない『貧困の闇』を感じる。どんな苦難でも受け入れてそれを打開しようとする幼い兄弟姉妹の姿に涙。
2017/01/20
はこぶね
戦後の小さな部落で苦しい生活をしている一家のお話。文体が美しいとか構成が巧みとかじゃないけど、生きていくことに精一杯の家族を丁寧に丁寧に書かれているのが何よりも胸にくる。あとがきを読んで『橋のない川』も読もうと決意。住井さんの物語を書く姿勢に心打たれた。文体も60年も前に書かれたとは思えないくらいに読みやすい。いわさきちひろさんの表紙もすごくマッチしてて好き。
2014/02/23
aoko
戦後の日本。父は戦死、母は機織りと農業で子ども4人と祖母の生活を支えていたが、破傷風で急死。中学生だった長男が家族の生活を支え、また、弟妹の将来のため今後の収入を考えて東京に出稼ぎに行く。子どもだから、と、過剰な供出がなくなるわけではなく、過酷な生活は変わらないけれど、前を向いて歩いていく姿に頭が下がる。
2023/09/27
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