橋のない川(一) (新潮文庫)
橋のない川(一) (新潮文庫) / 感想・レビュー
遥かなる想い
中学時代に小遣いをためて、まず6冊読んだ。何も知らなかった自分に理由なき差別と、それに苦しむ人々の存在を教えてくれた記念すべき書物。その後7巻が出た時も小遣いから、買って読んだ。あの時の感性はどこにいったのか。その後、島崎藤村の『破戒』などを読んだ記憶がある。
2010/04/28
TATA
中学生の頃の担任が当時、感動した本として挙げていた作品。舞台は明治末期の奈良。作品の主題は部落差別なのですが、その中にあって主人公の少年たちの日常がどのようであったか、また、彼らが何をどう思ったかがきめ細やかに描写されていることに驚きを覚えます。主人公の逞しさ、そして弱さと、読んでて辛くなる描写も多いですが、だからこそ若い人達に読んでもらいたいと思う作品です。先生、ごめんなさい、あの頃読んでおけばよかった。
2019/07/16
たか
明治、大正の被差別部落問題を扱っており、その内容は理不尽で、むごたらしく、日本人として心が痛む。 関西に住んでいると、現在でも部落問題は身近な問題として存在している。 非常に重いテーマではあるが、全編を通じて不思議と暗さがないのは、大らかで豊かな心のぬいとふで、支え合いながら健気に成長していく誠太郎と孝二の兄弟という、主人公一家の大きな家族愛に包まれているからであろう。 奈良盆地の美しい田園風景の描写も作品に温かみを添えている。これからの時代を担う若者に是非読んでもらいたい作品である。全7巻。C評価
2018/05/06
Nobuko Hashimoto
このところ差別についても授業で取り上げるようになり、部落差別問題を扱った作品の代表である本作を手に取った。母や夫の蔵書に全巻揃っているのに読まずにいたのだが、予想以上に面白く、夢中で読み進めている。機が熟した感あり。まず、住井すゑの文章の巧みさ!するするするする読めてしまう(関西の方言に慣れない人には読みにくいかもしれないが)。食わず嫌いはあかんな。1巻は、被差別部落の畑中一家の長男・誠太郎の小学校生活が中心。気が強くて先生から睨まれがちな兄は、勉強はできるのに品行の点で評価を下げられてしまう。二巻へ。
2021/07/16
ココ
江戸時代、非人と呼ばれ、士農工商の下の身分として、1つの部落に集められた人々。大正に入っても、その子孫達は、不当な差別を受けてきた。小学生の兄と弟を通じ差別への憤りが、自然の美しさ厳しさと共に丁寧に描かれる。兄弟と母と祖母の4人家族が、愛情深く真摯に生きる姿が救いであり、希望である。多くの方に読んでいただきたいと思う作品です。
2019/08/08
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