橋のない川(二) (新潮文庫)
橋のない川(二) (新潮文庫) / 感想・レビュー
遥かなる想い
第二部は 大正の小森の物語である。 この時代の 尋常小学校に通う 畑中孝二の視点で語られる 政治の動きが ひどく新鮮である。 差別が 蔓延する中、 孝二の杉本まちえへの淡い想いだけが 儚い 第二部だった。
2020/04/14
TATA
第二部読了。今回は弟の孝二を中心に展開、彼の中等学校での日々を描く。とても頭がよく人の気持ちもよく分かる孝ニ。親に友人に言ってはいけないことを押し殺している様は読んでて辛い。ほのかな恋情も将来への希望さえも持つことさえ許されない。いじめとは次元の違うテーマではあるけれど、こういった内面の苦しみは世代を超えて共感してもらいたいと心底思います。
2019/07/23
James Hayashi
多感な青年期に、戦争や、身近な人の死、極貧の中の差別を経験しながらも成長していく姿。痛々しさも感じるが、時代とともにのびやかさを感じる文章もいい。平等と尊厳を幸徳秋水、石川啄木、天皇などを引かれ、厚さのあるストーリー。次巻へ
2020/11/17
湖都
2巻は孝二を主人公として描かれる。尋常小学校の優しい江川先生と同じ部落の少年・武の死は、孝二に大きな衝撃を与える。また、初恋の少女や尋常小学校時代に可愛がってくれた柏木先生もエタに対しての偏見があることを知り、長年の夢が崩れていく。本書では1巻に引き続き『破戒』についての記述があるが、たしかに私もエタが人間扱いされていないのに士族が結ばれるというご都合主義のような展開に驚いたのを思い出した。本書の時代は『破戒』よりも後でエタの立場は少し良くなっているように見えるが、陰湿なイジメのような印象を受ける。
2018/06/04
ゆう
どこかのどかだった1作目と違い、2作目では高等科に進んだ孝二らの差別による痛みはさらに強く、不安や絶望感が大きくなっていく。良識や分別がついてくる思春期だからこそ、おどけにみせかけての嘲りは、正面切って差別を口にするよりも、受ける側の傷はなお深くなる。
2013/10/10
感想・レビューをもっと見る