橋のない川(四) (新潮文庫)
橋のない川(四) (新潮文庫) / 感想・レビュー
遥かなる想い
成人したら孝二を軸に 差別が現存する 小森の風景を描く。先生となった杉本まちえへの 想いが切ない。 同窓会での演説、兄 誠太郎の除隊、水平社設立 …時代が 移る中で 懸命に生きる 小森の人々が健気、そんな印象の巻だった。
2020/06/09
James Hayashi
長男をシベリア出兵に取られるが、生活の向上はなく貧しき人々は貧しきまま。特に差別された人々は逃げる場所もない。見えぬ未来だが青年の成長は明るい材料だ。
2020/11/19
桃水
2011/05/09:同僚より借り本。 2011/06/20:読んでいる途中で『日本の1/2革命』を先に読んでしまったり。 そのせいか水平社の設立が革命の準備段階に見えてしかたありませんでした(汗)
2011/06/19
湖都
4巻は誠太郎が兵役につき、主に孝二の視点となる。なんといってもクライマックスは同窓会であろう。長幼、男女、貴賎などの序列を尊ぶべきだという人の意見に反論する孝二の演説は見事である。著者の言いたいことを孝二に代弁させているようでもある。もう一つ印象的なのは、清一としげみの心中。同じ村出身で、エタと呼ばれる生まれなのも一緒、普通ならば結婚できるはずなのに2人は死んでしまった。それなのに幸せそうにも映るのはなぜだろう。誠太郎は無事軍隊から戻り、全国水平社の旗揚げはもうすぐ。次巻も楽しみ。
2018/06/08
さとむ
差別の理不尽さが切々と語られる。「宿の一夜は、中野自身にもまた心のきずとなって残っていたのだ。しかもそれは加害者としての心のきずだ」。いまヘイトスピーチに夢中になっているような人は、いつか心のきずを感じる日がくるのだろうか。「・・・そんな自然の中で、同じ地球の時間のなかで、生まれた者は必ず死ぬという法則のなかで、人間どうしが、なんでいがみ合うたり、憎み合うたり、殺し合うたりしなけりゃなりまへんのやろか・・・」。およそ100年前の心の叫びは、現代の心の叫びでもある。
2015/11/03
感想・レビューをもっと見る