橋のない川(五) (新潮文庫)
橋のない川(五) (新潮文庫) / 感想・レビュー
遥かなる想い
第五巻では 水平社設立後の 小森の人々の 風景を描く。 差別が現存する大正の時代に 懸命に生きる 孝二たちが 健気でいとおしい。 杉本まちえへの想いを心に秘めながら、差別と闘う孝二たちの行く末が気になる、そんな巻だった。
2020/06/19
TATA
全国水平社設立。しかし、世間一般がすぐに受容することもなく、孝ニらは騒擾罪のかどで収監される。ストーリーに徐々に政治色が濃くなり、孝ニ達の日常の景色が減っているのは残念。そういうのもこの作品のいいところだと思うんだけど。巻末にて関東大震災発生、時代はさらに混沌と。大正デモクラシーとして習った時代の思想的な変化とそれに戸惑う大衆という流れがよく分かる第五部でした。
2019/08/18
James Hayashi
左ぎっちょさえ差別する(見下す)日本人。右利きが有利便利ということも、戦争から来ているという事実。平等と人間の尊厳を求め水平社の立ち上げにも関与していく孝二。そして関東大震災。次巻へ。
2020/11/20
湖都
5巻は、孝二が騒擾罪で収監されるの巻。やってもいない罪で収容されたから当然なのだが、孝二たちが拷問などの酷い目に合わなくてよかった。それにしても、1〜3巻くらいまではエタを嘆き疑問に思うだけだったのに、だんだんと実際に世の中を変えていっていることが素晴らしい。きっかけは子供の悪口のような些細なことでも、受け取る人間の傷は大きく、勇気を出して抗議の声をあげることで理解してくれる人は増える。
2018/06/11
ゆう
不当な差別に虐げられてきた人たちが、今や“賤民”を返上して、“選民”の道をいかんとす。歴史の教科書では理解し得なかったできごとが、生きた言葉で語られることのおもしろさ。長~い語りや手紙のやりとりが多く、またかぁ~なんて言いたくなるところもなくもないが…。思いがけず、孝二らが裁判にかけられたりして、いよいよ歴史が動き始める。年内に7部まで読み終えられるかしら。
2013/12/09
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