京の川 (新潮文庫 み 7-5)
京の川 (新潮文庫 み 7-5) / 感想・レビュー
shizuka
わたしと同じ名前の主人公「静香」。18歳で芸妓の道へ。芸妓の仕事での過酷さ悲惨さ悲壮感はなく、どちらからというとそこから離れた家族、親戚、仕事相手との人間関係が深く掘り下げられて書かれている。主人公、父、父に愛を注ぎ看取った父の愛人、心が清らかなのはこの3人だけだ。この3人の中で静香と愛人の秀子はあまり幸福ではない。心が綺麗だから不正ができないのだ。そして相手を思い遣る気持ちが強い。まっすぐ生きようとすると壁にぶつかる。人の卑しさを目の当たりにする。そこでどう生きるか。折々の静香の決断が物語を左右する。
2016/08/28
そうたそ
★★★★☆ 京都の花街に生きる芸妓・静香の哀歓の人生。家の事、自身の出生の秘密、そして芸事。儚く哀れでありながらも、その裏に強さを覗かせるような一人の女性の人生が、古都の風景とともに、鮮やかに描かれている。さすが水上勉という他ない美しい文章を堪能するかのように読んだ。京の女を書かせたら水上勉の右に出る者はいないのではないかと思うばかり。派手なストーリーもいいが、たまにはこういう物語をしっとりと味わうのも良い。
2023/01/02
桜もち 太郎
久し振りの水上作品。一見華やかな京都芸妓の世界。しかしその裏には複雑な人間関係があり、主人公静香のような侘しい世界もある。「京の川」は個性的な踊りで表現するもの。川には姿がありその姿を踊りに託す。芸妓の意地、女の意地、人としての意地を見るような作品だった。昭和40年の新聞小説。
2017/07/05
東森久利斗
これぞ京都の女、”古都京都 × 女”の名手が、京都の花街を舞台に美しい古都の風物、移り行く季節の中に描く女の道、芸の道。親子、姉妹、花街、御贔屓の人間関係の絆に縛られ、翻弄されながらも、ひたすらに女の道、芸の道を歩もうとするの哀歓の人生が健気で頼もしい。
2021/03/30
モリータ
なんとなく読んだ。相国寺には行ったことがないので近々行きたい(最近こればっかり)けど、平日に行ったら同志社大学のそばなので私大の学生さんの若さと華やかさにあてられそう…。
2012/05/09
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