越後つついし親不知 (新潮文庫 み 7-7)
越後つついし親不知 (新潮文庫 み 7-7) / 感想・レビュー
のびすけ
夫婦や男女、親子の関係の悲哀を描いた7編の短編集。表題作「越後つついし親不知」は、雪深い越後の村を舞台に、夫の友人に犯され、子を身籠もってしまったおしんの悲劇。底なしのやりきれなさと憤りで胸が苦しくなる。その他では、京都の花街を舞台にした「西陣の蝶」「北野踊り」の2編がとても良かった。どちらも薄幸の芸妓が主人公で、親子の深い愛と切ない結末が心に沁みる。
2023/09/07
モリータ
ずっと積読だったのを、来週北陸を旅行するので予習のため表題作だけ読む。冬場、灘や伏見の酒蔵に杜氏として働きに出る夫とそれを待つ妻の間の救いのない話でした。中学生にはやや渋い合唱曲「親知らず子知らず」で歌われる海岸沿いの難所ですが、今は北陸自動車道沿いに道の駅があるようなので、佐渡に行く前に立ち寄ってみたいと思います。
2017/08/06
アメヲトコ
短編7編収録。北陸路のお伴に読みました。北陸や京都を舞台にした、幸薄い人々が主人公で、とくに表題作のやりきれなさ。しかし風景がありありと浮かんでくる筆力はさすが。
2017/11/22
koishikawa85
表題作は映画に続いて読んだ。悲しく陰気な作品が多い。北陸の話ばかりかと思っていたが京都が舞台なのもあるのね。
2023/10/24
marukuso
女性や子どもの苦難というか,生きづらさを描いた短編集。酒造りの出稼ぎに行っている間に友に妻を寝取られ妊ってしまう女,実の子を育てられず自身はお茶屋で働き尼に出す女,誤認逮捕で亡くなった父の復讐を遂げる子,など。表題の越後つついし親不知は最後の情景があまりにも不気味である。誰もが苦しい時代でもあったのだろうが,果たしてこの悲しさはなんとも言えない。
2022/05/22
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