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はなれ瞽女おりん (新潮文庫 み 7-13)

はなれ瞽女おりん (新潮文庫 み 7-13)

はなれ瞽女おりん (新潮文庫 み 7-13)

作家
水上勉
出版社
新潮社
発売日
1980-12-01
ISBN
9784101141138
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はなれ瞽女おりん (新潮文庫 み 7-13) / 感想・レビュー

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メタボン

☆☆☆☆☆ 北陸の風土、全盲という哀しい境遇、楽しく明るい節の中にもにじみ出る様な悲哀、性から逃れられない人間の業、これらが混然として迫ってくる表題作は、この人にしか書けなかった名作だと思う。同じく盲女を題材とした「銀の杖」は表題作よりもう少し現代に近づき、北海道の炭鉱の様子も垣間見え、印象深かった。どちらも男の情けなさと女の一途さ・強さの対比が際立った。越前の小さな集落の風俗史でもある「阿弥陀の前」「しゃかしゃかその他」、京都の芸妓を活写した「鐘の音」も良かった。

2020/12/26

やどかり

表題作が読みたく手に取った。終始淋しさが漂っているのだが、おりん自身に悲壮さは感じず子供のような無垢を纏っているようにみえる。水上勉氏の祖母が途中失明で、また生まれた土地では瞽女さんが回っていたことから、盲目の女性の話が多いのか。結婚後失明し按摩になった女性の物語『銀の杖』もよかった。どちらも目の見えぬ運命を受け入れようとする姿は健気で悲しく思えた。

2022/07/16

のびすけ

盲目の女旅芸人「はなれ瞽女」のおりん。旅の途中で出会った平太郎との恋。悲しい結末。「おらが見たものは平太郎さまの心でごぜえます」。罪を犯した平太郎を庇うおりんの言葉が切ない。瞽女として生きていくことの悲哀に満ちた物語でした。

2023/03/12

Bo-he-mian

読了。映画版と共にお目当てだった『はなれ瞽女おりん』が心に沁みる。昭和50年代の前半頃はまだ存在していた、盲目の女性遊芸人「瞽女(ごぜ)」。先頭に目明きの「手引き」、その後に数人の瞽女がつかまり列となり旅をした。越後の瞽女は組織化されたものが多く、例えば男と交わってはいけないといった厳しい掟があった。これを破ると組織から落とされ、「はぐれ瞽女」として、盲目の身で独りでさすらわなければならなかった。おりんは、作者・水上氏の故郷の村の破れ堂に棲んでいた盲女がモデルになっている。

2021/04/17

rinrinkimkim

読書中に痛ましい相模原の事件が起きました。おりんの「めくらはめあきさまのように見ることはできない。真っ暗闇」が事件とリンクしてしまい・・今まで読んだ物語の中で一番哀しいお話。目が見えず人の喜捨で生き、一人旅する。顔もわからない男の人に春をひさぎ、それすらも「人肌の温かさがありがたい」と言わせる水上氏。じっとりとまといつくような哀しさや生きるつらさが初めから終わりまで続くのです。やりきれなさでいっぱい。「あにさん」との流浪の旅、離れ離れになってあにさんを追いかけるおりん。哀しすぎです

2016/07/30

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