長い橋 下巻 (新潮文庫 み 7-21)
長い橋 下巻 (新潮文庫 み 7-21) / 感想・レビュー
shizuka
主婦保護観察司が無垢で性善説に則りすぎているのが、白々しくてあまり好きになれなかったが、面倒みている少女「すみれ」がある事件の逃亡犯の男と一緒に逃げ回っている、なんとか見つけなくちゃ!とやっきになり、彼女の足取りを懸命に追い回しているうちに、主婦自身の「奥様ベール」がはげ落ち貫禄がついてきたのがよかった。すみれは罪を重ねたことにはなるけれど、その意志こそ純真なのだとした終り方も見事。田舎の因習が事件の発端でもあるのだと、大逃亡劇の裏側で忌まわしき因習の撲滅を願う良書。北陸寒村育ちの水上氏ならではの着眼点。
2016/10/12
marukuso
宇沢順一とすみれはお互い惹かれ合い過去が誤ったからこそきれいな関係でいようとする。二人の逃避行は宇沢という人物の正体が根神伸次だとわかり、容疑が晴れ終焉を迎える。放火や窃盗、殺人など過ちを犯した人間をどうたち直せるか、どう生きるのか。よく人間は一人では生きられないと言われるが、タイトルが「長い橋」とあるように誰かのために生きるということ、つなげていくという大きな一大事を生きるているのである。
2017/10/14
kmiya3192
宇沢を名乗る男とすみれの逃亡生活。兄光二を頼るも香住からの刑事の追跡に光二の前から姿を消した。岐阜では雪枝がすみれが戻ってくることを信じていた。半年の逃亡生活で二人はお金につき宇沢が心中をもちかけるがすみれはこれを説得。再び光二を頼るその朝、宇沢はすみれの前から消えた。光二のもとへやってきたすみれに事前に連絡があり雪枝がこれを迎えた。光二もその身柄を捕獲される。すみれにより命を救われた光二。すみれも過去の清算がすみ通常の暮らしを取り戻すこととなる。
2021/06/07
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