文壇放浪 (新潮文庫 み 7-28)
文壇放浪 (新潮文庫 み 7-28) / 感想・レビュー
さっと
自身の半生を振り返りつつ、京の寺の小僧時代、出版社を転々とした編集者時代、直木賞受賞以降の作家時代の文士たちとの思い出を綴る。小説はほとんど読んでいない(飢餓海峡くらい)ので『土を喰う日々』の長髪ロマンスグレーが似合う端正なおじさまのイメージなんだけど、職を転々としていた若い日々(とくに酒の失敗談)の激しさのギャップがまずおもしろい。とにかく膨大な作家先生の名前が次々あげられ、私はその8割も良く知らないが、著者の筆遣いのおかげかまったく苦にならない。一時代の証言として読み継がれてほしい。
2023/01/07
Hiro
作家として世に出るまでの苦労話も勿論半分くらいはあるがあとの半分は直木賞を取って流行作家となったあとの文壇交流記で、軽井沢やゴルフ場、はたまた講演旅行での様々な有名作家との交流が綴られる。谷崎、川端など今に残る作家なら兎も角大部分はもうあまり読まれない作家の話なので、この交友録部分は今ひとつ興味が持てなかった。酒や女で苦労したらしい、前半の著者自身の下積み時代のことをもっと知りたかった。それにしても、編集者その他に先生、先生とチヤホヤされて料亭を飲み歩いたり地方旅行したりする文壇社会は今もあるのだろうか。
2022/08/15
Seagull
大好きな私小説家の名前がたくさん出てきて、興奮しました。水上さんの交遊録。さすが類は友を呼ぶ。
2014/10/29
南註亭
文壇史、出版文化史、そういう側面もあるのですが、なによりも作者のまなざしがあたたかい。何度目かの再読になります。
2012/04/10
tecchan
若い頃、水上勉氏の作品を貪り読んだことを思い出した。本作は、戦後まもなく、著者が文壇デビューする前から大御所となるまでの作家達との交友や作品の背景などを回想している。氏の作品を思い出しながら面白く読んだ。
2018/02/21
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