技巧的生活 (新潮文庫 よ 4-4)
技巧的生活 (新潮文庫 よ 4-4) / 感想・レビュー
新地学@児童書病発動中
吉行淳之介の作品としては珍しい女性の視点から描かれた小説。自分が愛した男性の子供を堕胎した葉子は、その失望から夜の世界に入って働くようになる―――。一歩間違えば、俗っぽいメロドラマになりそうな素材を、冷ややかともいえる客観的な人間観察と、清新で繊細な文体で描き出して非常に私好みの作品だった。物語の中で男女が体を重ねても充足感は得られることなく、かえって孤独感が深まっていく。その孤独感はすべての現代人が共有しているものなのかもしれない。
2015/04/02
佐島楓
夜は酒場の「ゆみ子」という仮面をかぶる葉子の心の傷とは・・・。主人公の同僚も、店を訪れる男性も、それぞれ技巧的。男女の間は、結局化かし合い、騙し合いということなんでしょうか。
2013/08/04
shiggy
吉行淳之介を初めて読んだのがこの本だったのが良くなかったのかも知れない。正直評価に困るというか、どこが面白いのかもわからない。好みの問題と、時代背景の問題だとは思う。
2016/06/29
かがみん
吉行には珍しく女性視点の小説。過去を捨てて、銀座のバーで働くことにした葉子は、新たにゆみ子という名前を与えられる。だが、そのバーには、本名と同じ、よう子という名前の女性が居て……。このあたりの設定が、過去と現在の対比を生み出すわけだけど、その描き方が上手いのなんの。さらに、女性主観から"視る"男と女の人間模様を、呼吸をするように書く吉行の観察眼には脱帽。自分を捨てて技巧的に生きる様は現代人の在り方を象徴してるのは言うまでもない。でもその中で「殺せない」自分との葛藤もまた、巧く表現されている。良い作品だ。
2012/06/14
なんとかかんとか
なんかの文壇でこの人の話が出ていて、そのことを思い出して無印古本で買った作品、昭和のモテ男、吉行淳之介 自分の生きている世界とかけ離れすぎて、共感はできなかった これがリンクする日が来るとしたら、、と思うと怖くなるね
2023/06/09
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