華やかな手 (新潮文庫 そ 1-6)
華やかな手 (新潮文庫 そ 1-6) / 感想・レビュー
あや
もし自分の子供が6本の指を持って生まれてきたとしたら。人間はそんなことを考えることがあるだろうか。心の暗部に光を当てるような作品を描く著者の珠玉の短編集。
2020/03/15
ジュライ
陰気な話ばかりの、でも粒揃いな短編集。どの話も、登場人物たちの中に暴力性はほとんど存在しなくて、ただただ陰湿で当てつけがましい底意地の悪さが、蔦のように絡み合っているのが特徴的。でもいずれも過度にドラマチックではなく、自分自身もうっすら身に覚えがあるような感情ばかりなんですよね。自分の中の嫌な部分を見せつけられるようで背筋が寒くなる。ここにも収録されてる「長い暗い冬」って短編(カチカチ山の絵本を繰り返し読み続ける子供の話)が昔から好きなんだけど、「幸吉の行燈」「お家がだんだん遠くなる」あたりもかなり良い。
2022/10/30
り
後味の似た短編は作者らしさの詰まった代名詞のような本でした。もっと曽野綾子さんを読んでみたいと思います。
2021/03/29
みこと
曽野綾子が、ホラー作家だったとは!心の闇の深さといったら!
2015/10/26
Yuichiro Komiya
左手に6本の指を持って生まれてきた主人公は、子供の時母 親の不注意による事故で左手首から先を失った。その事故はなぜ起こったのか?人の心の闇を深い人間洞察から描いた、曾野綾子珠玉の短編集。ホラーではないが、それよりもっと背筋が凍る話も多く、本当に人間とは怖いものだと思った。
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