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背徳のメス (新潮文庫 く 5-3)

背徳のメス (新潮文庫 く 5-3)

背徳のメス (新潮文庫 く 5-3)

作家
黒岩重吾
出版社
新潮社
発売日
2011-01-28
ISBN
9784101148038
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背徳のメス (新潮文庫 く 5-3) / 感想・レビュー

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遥かなる想い

第44回(昭和35年度下半期) 直木賞受賞。 白い巨塔の財前教授を 想起させる植先生の 無頼ぶりが圧巻である。 医療に関しては、純粋で ありながら、私生活では 女だけが人生の記録で ある植という医師の人物造形が 読者を物語に引き込む。 手術ミスを隠そうとする 西沢科長との確執。 ガス詮をあけて、植を殺そうと したのは誰なのか? 昭和の中ごろの病院内の 暗闘を深くえぐりながら、 でも今日にも繋がる病巣の ようなものを骨太に描いた作品。 登場人物がいずれも影を抱え、 その終わりもひどく哀しい。

2013/11/03

新地学@児童書病発動中

脂ぎった男女の欲望がぶつかり合う社会派のミステリー。直木賞受賞作。産婦人科の医師植秀人は、ある時自分の働いている病院で殺されそうになる。必死になって自分の殺そうとした人物を探すのだが、決定的な証拠は見つからない。病院の貧困の描写が迫真的で、生々しい男女の絡みが書かれるので心地良い小説ではない。昭和期には、このように多くの人が欲望に目をぎらつかせていた時期があったのかもしれない。当時だったらそんな風潮に反発しただろうが、今は不思議と郷愁を感じた。結末で明らかになる薄幸の女性の人生が切ない。

2018/08/15

yucchi

【借り本】THE昭和。登場人物誰も彼も曲者ばかり。女たらしの医師、植はある日ガス中毒に見せかけ殺されそうになる。自分を殺そうとしたのは誰か? 全体的に重く暗い空気が漂う。33歳の未婚の婦長を[老嬢]と表している箇所を37歳の私はどういう気持ちで読めばよいのか。みんな重たい何かを抱えながら生きてる。そう思わせる作品。

2016/01/19

メルト

女たらしの産婦人科医が、自分をガス中毒で殺そうとした犯人を探すハードボイルド調のミステリー小説。ぼくはダークヒーロー好きなので特に面白く読めた。舞台が大阪の貧民街にある病院だけに、当時の社会的弱者の様子も生々しく描かれていた。ミステリー作品だけに物語の大筋とは関係ないところで気になったのが、登場人物の誰もが持っている戦争の記憶だ。表層には見えていなくても、誰しもの心の深くに戦争の記憶はまるで傷のように刻まれている。そういう時代だったのだなとも思わされた。

2020/04/27

reading

昭和のにおいが色濃く感じられる作品。当時の医療関係者の日常、風俗、習慣といったものが描写されているが、現代にも通づるような感じがした。 ミステリーの最後を締めくくる信子の遺書に重みを感じた。

2015/10/10

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