4時のオヤツ (新潮文庫)
4時のオヤツ (新潮文庫) / 感想・レビュー
ヴェネツィア
午前、あるいは午後4時という半端な時間に繰り広げられる33篇のショート・ストーリーズ。それぞれのお話のちょっとした添え物(けっして主役でも物語の核でもなく)になっているのが「柳屋のたい焼」をはじめとしたオヤツ。様々なシチュエーションで、様々な組合せでストーリーは展開するが、いずれもがそれぞれの人生の機微を突いていて、しかもほんのりと暖かい。時にはしんみりとする。つまり、大人の物語なのだ。それにしても、東京とその近郊から(一部例外あり)これだけ魅力的なオヤツを集めて来たものだ。老舗あり、ニューウェイヴあり。
2014/10/07
とし
同窓会の女性3人、母娘、姉妹、老夫婦、父と娘、兄弟などなどさりげない日常の会話に、さりげなくオヤツが介入して、ほつこりしたり、しんみりしたり良いな。
2014/05/12
ぶんこ
東京に住んでいる人々が、おやつの話をしている。まるで隣に座って一緒にいるような感じになります。ショートショートなのですが、最初に場所、人の描写があって、まるで台本を読んでいるような気分にもなりました。紹介されているオヤツに懐かしい物が多く、シベリアなんて昭和中頃のオヤツ。懐かしかったり、すぐに買いに行きたくなったりと楽しめました。
2017/12/16
yumiha
会話のなかで表紙写真などのオヤツが紹介される。ときにはそのオヤツを食し、その感想も会話になる。主に東京の和菓子さんなど。一番驚いたのは、「仙台・賣茶翁のみち乃くせんべい」。先日読んだばかりの売茶翁の名を冠した明治12年創業の老舗。そういえば、売茶翁は若いころにみちのくの旅をしていたっけ。読メでは誰も読んでいない死語のような本だと思っていたけど、ちゃんと名前を残してくれた老舗もあるんだ、と嬉しかった。
2024/03/05
kaoriction@感想は気まぐれに
先日読んだ『ごくらくちんみ』のオヤツ版。「四時ときたら、てんで半端。ティータイムでも食事でもない」。そんな「4時」という不確かな時間をオヤツと何気ない日常と共に切り取った短い33の短編。お話自体は『ごくらくちんみ』の方が好きかな。でも、出てくるオヤツは身近な本作品にヨダレが…。杉浦さんの実兄、鈴木雅也さんの写真がまた甘党な私の食欲をそそる。そして、この短いお話たちのありふれた会話や日常風景のあちこちにもまた、杉浦さんの優しいまなざしが散りばめられている。4時のオヤツを食べながらほっこり読むのがいい。
2014/05/05
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